日本語要旨

琉球列島、喜界島沖の大陸棚に分布するアセルブリナ類よりなるマクロイド中に見出された、完新世の石灰化した管状有孔虫の新種

琉球列島,喜界島沖の陸棚上には被覆性底生有孔虫アセルブリナ類(acervulinids)よりなるノジュールであるマクロイドが広範に分布する.水深75〜97mから採取されたマクロイドの核(年代値は,約4000年前)から,管状有孔虫の2新属2新種(Shimenawa okuyamaeおよびYorishiro morii)を発見・記載した.走査型電子顕微鏡(SEM)観察およびラマン分光分析の結果,Shimenawa okuyamaeは,ランダムな方向に配列した針状のカルサイト結晶からなる磁器質(porcelaneous)の殻構造を特徴とすることが明らかになった.一方,Yorishiro moriiは,菱面体状,板状,棒状のカルサイト結晶からなる3層構造の殻を持つ.こうした殻の微細構造は,これまでの有孔虫研究において確認・詳細に記載された例がない.Shimenawa okuyamaeは,磁器質で孔がなく,単室であるという特徴から,暫定的にスクアマリナ上科(Squamulinacea)に分類される.Yorishiro moriiは,管状有孔虫としては極めて特異な殻構造を持つため,現時点では特定の科や、それより上位の分類群に確実に帰属させることはできない.