何が沈み込み帯の重力異常を決めるのか:プレート運動とスラブ形状との関係
- Keywords:
- Subduction zone, Free-air gravity anomaly, Subduction dynamics, Correlation analysis
沈み込み帯では、弧で高く、海溝で低く、外縁隆起帯でやや高いというフリーエア重力異常の特徴的なパターンが全世界で普遍的に見られる。どのパラメータがフリーエア重力異常の形成を支配しているのかを解明するため、島弧走向方向に沿って比較的一様な重力異常を示す20の沈み込み帯を対象に、フリーエア重力異常と、プレートの沈み込みに関連するその他のパラメータ(プレート運動、スラブ年齢、スラブ形状)との関係を調査した。相関分析の結果、弧の重力異常は海溝および外縁隆起帯の重力異常と良好な相関を示し、これらが共通の成因を持つことが推測される。また、プレート収束速度と重力異常との相関は基本的に弱いものの、浅部のスラブ傾斜角の正弦との積を用いることで、弧の重力異常との相関が著しく向上することが分かった。つまり、鉛直方向へのスラブの沈み込み速度が大きいほど、弧における重力異常が大きくなることを意味する。この結果は、「沈み込み帯の変位の食い違いモデル」など,いくつかの沈み込み帯の地形形成モデルから期待される関係と調和的である。このほか、プレート沈み込みに関連するパラメータ間の関係についても検討した。その結果、例えば、スラブの年齢と浅部のスラブ傾斜角との間には明瞭な正の相関が認められた。この関係は約半世紀前に上田誠也らによって提唱された後、より包括的な沈み込み帯のデータに基づいて長らく否定されていたが、比較的良好な二次元的特徴を持つ、短くはない(> 200 km)沈み込み帯を対象とすると、この正の相関関係が確認されることが分かった。また、沈み込む海洋プレートは、海溝軸付近でいったん大きく曲げられた後、ほとんどの沈み込み帯では、深部で再び直線的(平板)な形状へと多かれ少なかれ戻ることが分かった。これは沈み込み深部においても、スラブが弾性的な性質を保持していることを強く示唆する。