XRFコアスキャナーを用いた海洋堆積物コアの乾燥かさ密度の推定
- Keywords:
- XRF core scanner, ITRAX, Dry bulk density, The Japan Sea, IODP, Exp. 346
XRFコアスキャナーは、コア堆積物試料の元素分析を非破壊で高解像度かつ迅速に行える装置である。元素の埋没フラックスを知ることは、生物地球化学的物質循環を把握する上で不可欠であり、XRFコアスキャナーの測定結果から各元素の埋没フラックスを推定するためには、堆積速度とともに乾燥かさ密度(dry bulk density: DBD)が必須の物理量となる。そこで本研究では、XRFコアスキャナーの分析結果から堆積物コア試料の乾燥かさ密度を高解像度で定量的に推定する方法について検討した。
分析には、IODP Exp. 346で採取された第四紀日本海半遠洋性堆積物のうち、深度の異なる3地点の試料を用いた。第四紀日本海半遠洋性堆積物は、細粒砕屑物を主体とし、生物源シリカや生物源石灰質物質を様々な程度に含み、半遠洋性〜遠洋性堆積物組成の広範囲をカバーしている。これらコア試料の乾燥かさ密度は船上のMoisture and Density(MAD)測定で求められているが、サンプリング間隔が粗く、XRFコアスキャナー分析で検出される日本海堆積物の組成変化を十分に反映できていなかった。
本研究ではMAD分析で得られた乾燥かさ密度を目的変数、XRFコアスキャナー分析で得られた散乱X線強度および粒子組成を反映する元素の蛍光X線強度を説明変数として、様々な説明変数の組み合わせによる重回帰分析を行った。その結果、散乱X線の強度に加えてCl/Ti比を導入することにより、乾燥かさ密度の推定精度が向上することが判明した。Clは海洋堆積物コアの間隙水に多く含まれているため、Clを含めることにより乾燥かさ密度の推定精度がより向上したと考えられる。
XRFコアスキャナーの分析結果のみを使用した堆積物乾燥かさ密度の高精度推定により、XRFコアスキャナーによる元素分析結果とmmオーダーで一対一に対応した密度データが得られ、より正確かつ高解像度で物質フラックスを推定することができる。本手法を用いることにより、過去の物質循環をより高時間解像度かつ定量的に復元することが可能になると期待される。