ドローン磁気探査による斜面災害に係わる熱水変質帯調査-阿蘇火山での事例研究
- Keywords:
- UAV, Magnetic survey, 3D magnetic inversion, Hydrothermal alteration, Aso Volcano, Landslide
火山地域などに分布し、地下の脆弱部となる熱水変質帯の把握は、斜面災害リスクの評価にとって重要である。本研究では、九州の阿蘇火山中央火口丘西側斜面において、無人航空機(UAV、ドローン)を用いた超高分解能磁気探査を実施し、既存の広域空中磁気異常データと組み合わせることで、当該地域に見られる活発な熱水活動に関連した低磁化帯の詳細な分布を明らかにした。
まず、広域空中磁気異常データに対して3次元磁気インバージョン解析を行った結果、湯の谷、吉岡、地獄・垂玉の主要な噴気・温泉地帯で、表層から地下深部に至る顕著な低磁化帯が分布することが明らかとなった。これらの低磁化帯は、熱水変質帯(カオリナイト帯やスメクタイト帯)の分布と良く一致する。
次に、熱水変質帯の浅部地下構造をより詳細に解明するため、吉岡地域を対象としてドローンによる超高分解能磁気探査を行った。観測された磁気異常データの3次元磁気インバージョン解析の結果、馬蹄形凹地内を占める吉岡溶岩分布域において、上流域の地熱地帯を中心に地表から地下50 m以深まで広がる顕著な低磁化帯(≤ 0.5 A/m)の存在が明らかとなった。岩石磁気測定では、吉岡溶岩の磁化が変質の程度に応じて系統的に低下することが示され、さらに鏡下観察により変質鉱物の存在が確認された。これらの結果は、低磁化帯が熱水変質帯に対応することを示唆している。
斜面災害との関係では、2012年の豪雨により凹地内最上流部の地熱地帯付近で地すべりが発生している。また、凹地北側の台地の崖部には顕著な高磁化帯が検出されこれは崖部を構成する草千里ヶ浜降下軽石堆積物(Kpfa)の溶結部に対応する。一方、台地縁に沿って局所的な低磁化帯が断続的に分布しこちらは2016年熊本地震に伴う地すべり発生箇所や地割れ分布と良く対応している。特筆すべき点として、解析の結果台地縁直下には顕著な低磁化帯が検出されており、他の地質学的証拠と合わせて地下の熱水活動の存在が示唆される。
本研究により、超高分解能のドローン磁気探査が、地表から地下にわたる熱水変質帯の詳細な把握に有効であることが示された。