八丈島を対象とした地質調査と数値計算に基づく1703年元禄津波の波源推定
- Keywords:
- Hachijo Island, Tsunami, The 1703 Genroku earthquake, Boulder
八丈島は,南海トラフ,相模トラフ,伊豆小笠原海溝に囲まれており,巨大地震に伴う津波の影響を受けやすい場所である.しかしながら,これまで古津波調査は十分に行われてこなかった.本研究では,八丈島の津波履歴を明らかにすることを目的として,地質調査と数値計算による波源推定を行った.現地調査は八丈島の西海岸で行い,海浜由来の円礫で特徴づけられる津波堆積物を発見した.また,この津波堆積物は基底部に地割れを伴っており,この特徴は先行研究で報告されたものと対比される.年代測定および古文書との整合性から,この津波堆積物および地割れ痕は1703年元禄地震津波により形成された可能性が高い.次に,この調査結果を制約条件として,1703年元禄津波を対象とした数値計算を行った.その結果,従来モデルでは対象地域の津波痕跡を説明できないものの,すべり量を修正することで浸水を説明できることがわかった.伊豆諸島は島が点在しており,本州沿岸のような広範囲かつ網羅的な調査を行うことができないが,1点でも地質痕跡が加わることにより,波源推定精度の向上に大きく寄与する可能性があることが判明した.