沖縄トラフ海底熱水の化学組成に対する堆積物中の軽石の影響:熱水中のホウ素同位体比から得られた知見
- Keywords:
- Okinawa Trough, arc and back-arc system, hydrothermal system, boron isotope, pumiceous sediment
沖縄トラフ熱水系における堆積物の関与は,これまでにも多くの先行研究によって指摘されている。しかし,堆積物中のホウ素に関するデータは乏しく,特に軽石の影響についてはほとんど触れられていなかった。本研究では,南部沖縄トラフ及び中部沖縄トラフにおける複数の海底熱水系から熱水と堆積物を採取し,ホウ素濃度と同位体比を測定した。熱水中のホウ素については,海水混入の影響を補正し得られた端成分は,世界最高のホウ素濃度と世界最低のホウ素同位体比を示した。また,両者は熱水系間において極めて大きな多様性を示した。堆積物中のホウ素は,軽石を除き,その値は世界各地において報告されているケイ酸塩堆積物の範囲に収まった。一方,軽石は沖縄トラフの火山岩から報告されている値と同等であった。熱水系間で示された多様性は,沖縄トラフの海底熱水系において反応した固相が多様であることを示唆している。理論的な物質交換反応を考えると,伊平屋北海丘の熱水中のホウ素の値は,軽石の影響なしには説明できないことが明らかとなった。一方,鳩間海丘においては,火山岩と海水の反応によって説明することができる。第四与那国海丘においては,火山岩及び堆積物の両方と反応していることが示唆された。また,伊是名海穴のJADEサイトにおいては,複数の端成分が明らかとなり,噴出域周辺の固相の不均一性が示唆された。