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Progress in Earth and Planetary Science

日本語Abstract

Research

Solid earth sciences

日本海溝プレート境界断層浅部における厚い変形帯の動的形成過程:半地溝構造沈み込みアナログ実験からの知見

高下 裕章, 山田 泰広, 大出 晃弘, Arthur Bauville, 山口 飛鳥, 芦 寿一郎

Dynamic formation process of thick deformation zone on the shallow plate boundary fault of the Japan Trench: insight from analog experiments of half-graben subduction

Koge H, Yamada Y, Ohde A, Bauville A, Yamaguchi A, Ashi J

Analog model, Digital image correlation, Japan Trench, Sandbox, Thrust formation

Fault Dancingの模式図.

2011年東北地方太平洋沖地震では, プレート境界断層の破壊が海底面近くの浅部領域にまで到達し, 巨大な津波を発生させた.従来, 浅部領域は非地震性の定常滑りをする領域とされ, これまでの研究で破壊プロセスの検討は十分に行われてこなかった.しかし, 災害軽減のため, その研究に関する重要性は劇的に高まった.

地震発生直後に行われたIODP(統合国際深海掘削計画第343次航海)において, 海溝軸付近の海底下に薄いプレート境界断層(~7m) とその上部に変形帯(~100m)があることが報告された.断層の薄さは, 掘削場所が海溝に隣接しているため, 断層変位量は比較的小さいという予測を支持する.しかし, それに比べて, 変形帯の厚さは異常に厚い.

本研究では, プレート境界断層浅部の厚い変形帯がどのように作られるか動的に理解するために, 乾燥砂を用いたアナログモデル実験を実施し, さらにデジタル画像相関法を用いて断層活動を可視化した.砂を用いたアナログモデル実験は, 視覚的かつ動的な地質構造の形成プロセスの解釈に有効である.我々は最も滑りの大きかった反射法地震探査断面の観察から, 前縁ウェッジ下に沈み込む半地溝構造の沈み込みの効果に注目し, このような地形が沈み込んだ際の影響を評価した.

実験によって, 半地溝構造の沈み込みに伴い, 断層が周期的に断片化と再連結を繰り返すことによって大変位の断層に成長すること, この過程の中で断層が波打つように変動する(fault dancing)ため, 厚い剪断帯が短時間・小変位で形成されることという断層形成の新しいパターンを発見した.

日本海溝で観察される厚い変形帯は, この運動で形成されたものと解釈される.また, 一般に断層帯の厚さから変位量が推定され, それを基に断層活動のエネルギーが見積もられているが, 今回発見された fault dancing による剪断帯の発達を考慮すると, 断層帯の厚さに基づく断層エネルギーの推定は過大評価される可能性のあることが指摘できる.

日本語原稿執筆者:高下 裕章(東京大学大気海洋研究所)
(敬称略)