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Progress in Earth and Planetary Science

日本語Abstract

Research

Solid earth sciences

201712201712

北海道南東沖における太平洋プレート面上の中規模地震の応力降下量分布:摩擦特性の空間不均質性への示唆

山田 卓司,齋藤 悠,谷岡 勇市郎,河原 純

Spatial pattern in stress drops of moderate-sized earthquakes on the Pacific Plate off the south-east of Hokkaido, Japan: implications for the heterogeneity of frictional properties

Yamada T, Saito Y, Tanioka Y, Kawahara J

Frictional properties, Spatial heterogeneity, Pacific Plate, Off the south-east coast of Hokkaido, Stress drop

北海道南東沖の太平洋プレート境界面上で起きた中規模地震の応力降下量の分布

本論文の結果は,北海道南東沖の太平洋プレートの沈み込み境界面で起きた過去の大地震のすべり分布が,断層面上の摩擦特性の空間不均質性を反映していること,および,その分布が中規模地震の応力降下量の空間分布から推定可能であることを示している.

著者らは,2002年から2015年に北海道南東沖で起きた686個の中規模地震(マグニチュード4.0から5.0)の応力降下量を解析し,剪断強度と動摩擦応力の差(以下,摩擦特性と表記する)の空間分布を推定した.その結果,過去の大地震のすべり分布と調和的な応力降下量の空間分布が得られた.1968年十勝沖地震(マグニチュード8.2)および2003年十勝沖地震(マグニチュード8.0)の際に大すべりを起こした領域では,中規模地震の応力降下量が大きな値を示した.一方,2003年十勝沖地震の余効変動領域(ここではすべり量が小さい)で起きた中規模地震の応力降下量は小さかった.さらに,1973年根室沖地震(マグニチュード7.8)および2003年十勝沖地震に挟まれた領域で起きた中規模地震は,大きな応力降下量を示した.この領域は,1952年十勝沖地震(マグニチュード8.1)の際には破壊されているが,2003年十勝沖地震の際には破壊を止めるバリアとして作用したと考えられる.

プレート境界面の摩擦特性の空間分布は,将来の大地震のすべり分布の推定や,それから想定される災害の軽減をはかるために重要な情報である.本研究の結果は,プレート境界面の摩擦特性はほぼ時間変化せず,その空間分布は中規模地震の応力降下量から推定可能であることを示唆している.特に,歴史上の大地震の発生様式が不明である地域での摩擦特性の空間分布の把握に関して,中規模地震の応力降下量解析は非常に強力な手法となりうる.

日本語原稿執筆者:山田 卓司(茨城大学理学部 地球環境科学領域)
(敬称略)