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Progress in Earth and Planetary Science

日本語Abstract

Research

Space and planetary sciences

Session convener-recommended article JpGU Meeting 2016

201709201709

火星シレナム高地北部の盆地にみられる小丘群の分布・形態・地形計測

逸見 良道,宮本 英昭

Distribution, morphology, and morphometry of circular mounds in the elongated basin of northern Terra Sirenum, Mars

Hemmi R, Miyamoto H

Mars, Terra Sirenum, Remote sensing, Mud volcanism

火星のシレナム高地に位置する盆地の内部にみられる小丘群と亀裂

火星のシレナム高地の北部に位置する,縦長の盆地は,底が平坦であり,その表面には数多くの奇妙な丘(多くは直径100メートル程度;以下小丘群と呼ぶ)が分布する.本研究ではこの小丘群について,現在までに得られている様々な火星リモートセンシングデータを解析することにより,地質学的な環境,空間分布,形態学的特徴の調査および地形計測をおこなった.小丘をマッピングした結果,700を超える小丘が特定でき,盆地の底面積100平方キロメートルあたり平均して約21個存在することが分かった.小丘相互の位置関係については,いくつかの小丘が互いに近接して集中する場合もあれば,お互いに合体するような特徴あるいは列をなす傾向を示すものも存在することが分かった.小丘の大半は周囲の平地と比べると滑らかな表面を呈し,小丘のうちのいくつかには,頂上部での陥没した特徴,斜面上に分布する数メートル大の巨礫,明瞭なローブ状の地形が観察された.計50個の孤立した小丘について高解像度で高度を解析したところ,比高は6-43メートル(平均18メートル)で,大半の小丘は斜面傾斜が平均10度未満であった.こうした特徴は,地下から上昇した泥・岩塊・ガスの混合物が地表に噴出・堆積して生じる,地球上の泥火山と調和的であった.さらにクレーター年代学に基づきこの地域の形成年代を推定したところ,ノアキス代中期の年代を示す南部高地に位置する盆地は,その底部がヘスペリア代後期に表面更新を受けたことが分かった.盆地やその底面上に分布する小丘群について切った―切られたの関係から推定できる相対的な形成年代は,断層や亀裂といったメムノニア・フォッサの一部をなす構造地形が,小丘群の形成とほぼ同時期か形成後に生じたことを示す.Wilson and Head (2002) のマグマ貫入モデルで示された,メムノニア・フォッサやマンガラ大峡谷を形成した圧縮応力場が存在したというシナリオに沿うと,地下流体の不完全圧密や過剰圧力が促され,盆地直下に間隙流体が集中することで,結果として地下の大量の泥と流体が断層に沿って上昇・噴出した(泥火山が生じた)と解釈できる.

日本語原稿執筆者:逸見 良道,宮本 英昭(東京大学大学院 工学系研究科)
(敬称略)