※Progress in Earth and Planetary Science は,公益社団法人日本地球惑星科学連合(JpGU)が運営する英文電子ジャーナルで,JpGUに参加する50学協会と協力して出版しています.

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Progress in Earth and Planetary Science

日本語Abstract

Research

Interdisciplinary research

201702201702

揚子江河床堆積物の細粒シルトに含まれる石英のESR信号強度:懸濁粒子の供給源トレーサー

齋藤京太,多田隆治,Zheng H,入野智久,Luo C,He M,Wang K,鈴木克明

ESR signal intensity of quartz in the fine-silt fraction of riverbed sediments from the Yangtze River: a provenance tracer for suspended particulate matter

Saito K, Tada R, Zheng H, Irino T, Luo C, He M, Wang K, Suzuki Y

Yangtze River, Riverbed sediment, Suspended particulate matter, Provenance, Electron spin resonance, Crystallinity index

揚子江の主要支流から採取された河床堆積物(4–16µm)の石英のESR–CIプロット

東アジア夏季モンスーン(EASM)は東アジアの水循環に強く影響を及ぼしており,南中国を流れる揚子江流域においては,夏の降水帯がEASMの強度に応じて南北に移動することが知られている.そこで,揚子江流域における過去の降水帯の南北変動を復元することで,過去のモンスーン強度復元に繋げることができると考えられる.揚子江流域では降水量と水流出量,砕屑物流量の間に正の相関があり,流域における過去の降水分布の変動が河口部の堆積物の供給源変動として保存されていることが期待される.

本研究では,揚子江河口部に堆積した砕屑物の供給源変動を通じて過去の降水分布を復元するための第一歩として,揚子江の流域各部から流出する砕屑物を区別する指標の構築を試みた.

本研究では石英の電子スピン共鳴(ESR)信号強度と結晶化度(CI)を指標として用いた.揚子江本流及び主要な支流から採取された河床堆積物の細粒シルト(4–16µm)画分を分析した結果,主要な支流に由来する砕屑物はESR信号強度とCIの値の組み合わせにより区別することができた.また,これらの値が支流流域内の母岩の形成年代及び種類を反映しており,揚子江流域の地質帯分布と対応することも示唆された.特にESR信号強度は流域北西部から南東部に向けて上昇する傾向を示し,揚子江流域において砕屑物の供給源の南北変動を知る上で有用であると考えられる.

さらに,揚子江本流と主要な支流の合流点において,合流後の砕屑物に対する本流と支流の寄与率を基に,それぞれに由来する砕屑物のESR信号強度から合流(混合)後の砕屑物のESR信号強度を推定した.推定されたESR信号強度は,実際に合流点直下から採取された試料のESR信号強度と整合的であり,ESR信号強度が砕屑物の混合比を反映していることが示された.

日本語原稿執筆者:齋藤 京太(東京大学大学院 理学系研究科)
(敬称略)