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Progress in Earth and Planetary Science

日本語Abstract

Research

Space and planetary sciences

201607201607

潮汐固定された地球的な惑星の中層大気循環と海面温度の役割

Proedrou E, Hocke K, Wurz P

The middle atmospheric circulation of a tidally locked Earth-like planet and the role of the sea surface temperature

Proedrou E, Hocke K, Wurz P

Exoplanet, Tidally locked Earth, Middle atmosphere, Circulation, Atmospheric dynamics, Absorption lines, M star, Spectral line, SST, Sea surface temperature

恒星直下点を含む子午線に沿ったオゾン濃度の緯度-高度断面図。a、bは現在の地球と同様の海面水温分布を与えた場合の夜半球と昼半球、c、dは潮汐固定された惑星に期待される海面水温分布を与えた場合の両半球におけるオゾン濃度分布をそれぞれ示す。

3次元化学–大気循環結合モデルCESM1(WACCM)を用いて、海面温度分布の違いがG型星の周囲にあり潮汐固定された地球的な惑星の中層大気に与える影響を調べた。次の(1)~(3)の3種類の90日計算を行なった。(1) 現在の地球を模した設定を用いたシミュレーション計算、(2) 潮汐固定された地球的な惑星に対して潮汐固定された水惑星の海面温度を与えた場合のシミュレーション(CTLE)、(3) 潮汐固定された地球的な惑星に対して現在地球の海面温度を与えた場合のシミュレーション(WTLE)。これらのシミュレーションによって得られた結果は以下の通りである。まず、風速場に関しては、CTLEでもWTLEでも、地表から中間圏まで、昼側に上昇流・夜側に下降流が形成されることが示された。下部・中部成層圏の水平風分布は、CTLEとWTLEで同様のものとなるのに対して、中間圏の水平風分布には違いが出る(大規模な渦と強風領域が形成される場所が異なる)。次に、温度分布に関しては、CTLEに比べてWTLEでは下部対流圏の全球平均温度が3.7 K高くなる。これは、WTLEの方が、上向き長波放射フラックスの吸収量と顕熱フラックスが大きくなるためである。上部対流圏の全球平均温度はCTLEに比べてWTLEでは4 K低くなる。これは、WTLEの方が断熱温度構造を持つ領域(対流圏)がより上空まで広がるためである。下層成層圏の全球平均温度は、CTLE に比べてWTLEでは3.8 K高くなる。これは、WTLEの方が、上向き長波放射の吸収量が大きくなるためである。下部中間圏の全球平均温度はCTLEに比べてWTLEでは1.13 K低くなる。これは、WTLEの方が、中間圏において大気波動の砕波がより多く起きるためである。上部中間圏の温度は、CTLEに比べてWTLEでは4.3 K高くなる。最後に、オゾン層に関しては、WTLEの方が、第二オゾン層(secondary ozone layer、高度 90~110k kmの領域に生成されるオゾン層)におけるオゾン体積混合比は40.5%高くなる。

日本語原稿執筆者:石渡 正樹(北海道大学 大学院 理学研究院)
図の選択とキャプションの日本語訳:倉本 圭 PEPS宇宙惑星科学セクション編集長
(敬称略)