※Progress in Earth and Planetary Science は,公益社団法人日本地球惑星科学連合(JpGU)が運営する英文電子ジャーナルで,JpGUに参加する50学協会と協力して出版しています.

※Progress in Earth and Planetary Science は,独立行政法人日本学術振興会(JSPS)より科学研究費助成事業(科学研究費補助金)のサポートを受けています.

>>日本地球惑星科学連合

>>参加50学協会へのリンク

  • Progress in Earth and Planetary Science
  • Progress in Earth and Planetary Science
  • Progress in Earth and Planetary Science
  • Progress in Earth and Planetary Science
  • Progress in Earth and Planetary Science
Progress in Earth and Planetary Science

日本語Abstract

Research

Human geosciences

201609201609

貧砂床についての単純な確率セルオートマトンモデルと土砂輸送フラックスに基づく砂質地形形成に関する考察

遠藤 徳孝

Simple stochastic cellular automaton model for starved beds and implications about formation of sand topographic features in terms of sand flux

Endo N

Stochastic cellar automaton, Bedload transport, Sand patches, Sand sheets, Sand ripples

計算で得られた、堆積物存在量(堆積物の厚さの空間平均)と長時間後の安定状態での堆積物輸送フラックスの関係。挿入図は真上から見下ろしたベッドの様子を示す。

移動可能な堆積物の量が非常に少なく土砂輸送率が低い場合の水流中のベッドロードを模擬する単純な確率セルオートマトンモデルを考案した。数値計算の結果、堆積物の量が増えるにつれ、シートフロー、サンドパッチ、リップルと形態が変化する様子が再現された。これは、水槽実験や野外観察と一致する。外部条件を変えない場合、本モデルの計算によると、一定の堆積物量に対し、平らなベッドからベッドフォームが発達する過程において、堆積物のフラックスは時間的に減少する。これは従来の認識、水理条件が一定の場合、堆積物フラックスも一定であるという理解と一見相いれないように思われるが、類似した系での先行研究における水槽実験データと調和的である。シミュレーションでは、堆積物の存在量が比較的少ない範囲において、堆積物存在量に対する堆積物フラックスの関係(flux–density relation)は、堆積物量の増加につれ、いったん増加した後、急激に減少し、その後は緩やかに低下することが示された。このような変化は、交通流(道路における自動車の流れ)で観測されている関係と類似している。このflux–density relationの増減のパターンとそれに対応する物質移動の状態の関係から、サンドシート、サンドパッチ、リップルはそれぞれ、交通流の自由相、混合相、渋滞相に相当することが示唆される。このことは、堆積物の量が非常に少なく基盤が露出するような状況、すなわち貧砂床(starved bed)での砂質地形の形態が堆積物粒子同士の干渉の程度によって決まることを示唆する。本研究は単純なケースのみを扱ってはいるが、将来的にはより複雑な場合、例えば双峰的粒度分布を持つ粒子群が離散・集合を繰り返しながら移動する脈動的なベッドロード輸送などを扱う際に、効果的に単純化された(計算負荷が少なく有益な)モデルの提案に貢献すると期待できる。

日本語原稿執筆者:遠藤 徳孝(金沢大学 理工研究域 自然システム学系)
(敬称略)