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Progress in Earth and Planetary Science

日本語Abstract

Research

Solid earth sciences

201604201604

核共鳴非弾性散乱と第一原理計算から決定された状態密度に基づくブリッジマナイトの音速

McCammon C, Caracas R, Glazyrin K, Potapkin V, Kantor A, 新名良介, Prescher C, Kupenko I, Chumakov A, Dubrovinsky L

Sound velocities of bridgmanite from density of states determined by nuclear inelastic scattering and first-principles calculations

McCammon C, Caracas R, Glazyrin K, Potapkin V, Kantor A, Sinmyo R, Prescher C, Kupenko I, Chumakov A, Dubrovinsky L

elasticity, perovskite, nuclear resonance, sound velocity, lower mantle, ab initio calculations

ブリッジマナイトのVDに与える圧力の影響。本研究の実験から得られた値は大きな色つきの円で示されている一方、文献から取ったブリルアン散乱データは小さな黒い三角(Jackson et al., 2005)と小さな黒い円(Murakami et al., 2007)で示されている。有限差分法から得られた弾性テンソルの先行計算研究(Caracas and Cohen 2005)から取った値は、MgSiO3ブリッジマナイトに関しては赤い三角で、反強磁性FeSiO3ブリッジマナイトに関しては赤い四角で示してある。

ブリッジマナイトの音速を実験室において測定する事は、下部マントルの化学組成を明らかにするためのひとつの鍵となる。われわれは今回、ダイヤモンドアンビルセル中で核共鳴非弾性散乱測定(NIS)を用い、1つのメージャライト組成(Mg0.82Fe0.18SiO3)と5つのブリッジマナイト組成(Mg0.82Fe0.18SiO3, Mg0.86Fe0.14Si0.98Al0.02O3, Mg0.88Fe0.12SiO3, Mg0.6Fe0.4Si0.63Al0.37O3, Mg0.83Fe0.15Si0.98Al0.04O3)について、室温で最大89 GPaの圧力までのデバイ音速を決定した。NISによって決定されたメージャライトのデバイ音速はブリルアン散乱測定や超音波法によって得られた文献値と整合的であった。一方、ブリッジマナイトのデバイ音速は同様の手法で得られた文献値よりも有意に低かった。われわれはMgSiO3とFeSiO3ブリッジマナイトの部分状態密度と総状態密度を、密度汎関数理論を用いて計算した。その結果、実験データと同様のアプローチ(すなわち、D(E)/E2においてエネルギーがゼロへ向かう極限)を用いた場合、再スケールされた(reduced)状態密度から得られた音速は、どの部分状態密度を用いるかによらず、各相において同じ音速が得られた。さらに、われわれはこのアプローチに基づくデバイ音速が全弾性テンソルから計算された値と一致することも明らかにした。計算された状態密度とNISから得られた状態密度を比較すると、実験から得られた状態密度は低エネルギーにおいて強度が大きくなるため、状態密度の勾配に差異を来し、その結果低い音速が得られることが示された。この効果は本研究で調べられた全てのブリッジマナイト試料に存在した。

日本語原稿執筆者:新名良介(東京工業大学 地球生命研究所)
(敬称略)