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Progress in Earth and Planetary Science

日本語Abstract

Research

Space and planetary sciences

201507201507

地球型惑星におけるプレート沈み込み開始のスケーリング則:2次元定常マントル対流シミュレーションからの制約

Wong T and Solomatov V S

Towards scaling laws for subduction initiation on terrestrial planets: constraints from two-dimensional steady-state convection simulations

Wong T and Solomatov V S

Convection, Stress, Lithosphere, Subduction, Plate tectonics

不動蓋型マントル対流における応力の深さ分布に対するアスペクト比aの影響。横軸は深さ、縦軸は応力である(本文Figure. 2より)。

対流のアスペクト比aに対する降伏応力臨界値τy,crの依存性。横軸はアスペクト比、縦軸が無次元の降伏応力である。色は粘性モデルの違いを表し、黒が、Frank-Kamenetski近似、その他はArrhenius則のモデルである。■または●はレイリー数が異なるモデルである(本文Figure. 32より)。

岩石の粘性率は強い温度依存性を持つ。このため、低温である惑星表層は、粘性率が高く、動かないリソスフェアとなると考えられる。このようなマントル対流の様式は数値シミュレーションにより予測されており、不動蓋型マントル対流(stagnant lid convection)と呼ばれている。プレートを地球のように動かすためには、リソスフェアが破壊され、沈み込みが開始する必要がある。これには、岩石の降伏応力(粘性流体における破壊強度)が著しく低下する必要があり、水の作用が不可欠であるとされてきた。しかし、沈み込みが起きる降伏応力についての正確なスケーリング則はまだ得られていない。このため筆者らは、定常的なマントル対流シミュレーションを用いて、(1)不動蓋対流における応力の分布、(2)リソスフェアの沈み込みが発生する降伏応力の臨界値、(3)粘性のFrank-Kamenetski近似(Arrhenius則の指数にある温度の逆数を線型化する近似)の妥当性、について調べ、スケーリング則を見いだすことを試みた。

リソスフェアの内部の高い応力は、リソスフェアが部分的に薄くなって、その底面に傾きが出来ることによって発生する。筆者らは、リソスフェア底面の傾き、リソスフェア内部の応力、降伏応力の臨界値のスケーリング則が、Frank-Kamenetskiパラメータ(粘性の温度依存性の強さ)、レイリー数、対流のアスペクト比、それぞれのべき乗の積として表わされることを示すとともに、それらべき指数の値を決定した。その結果、発生する応力や降伏応力の臨界値は対流のアスペクト比に強い依存性を示す(前者は約1乗、後者は約2乗に比例する)ことが分かった。このことは、地球史初期に水平スケールの大きなマントル対流が発生すれば、降伏応力の低下によらずリソスフェアの降伏を発生させ、沈み込みが起こる可能性があるということを示唆する。

日本語原稿執筆者:中久喜 伴益(広島大学 大学院理学研究科
地球惑星システム学専攻)
(敬称略)