※Progress in Earth and Planetary Science は,公益社団法人日本地球惑星科学連合(JpGU)が運営する英文電子ジャーナルで,JpGUに参加する50学協会と協力して出版しています.

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Progress in Earth and Planetary Science

日本語Abstract

Review

Space and planetary sciences

201507201507

次世代欧州非干渉散乱レーダー(EISCAT_3D)のサイエンスケース

McCrea I, Aikio A, Alfonsi L, Belova E, Buchert S, Clilverd M, Engler N, Gustavsson B, Heinselman C, Kero J, Kosch M, Lamy H, Leyser T, 小川 泰信, Oksavik K, Pellinen-Wannberg A, Pitout F, Rapp M, Stanislawska I, Vierinen J

The science case for the EISCAT_3D radar

McCrea I, Aikio A, Alfonsi L, Belova E, Buchert S, Clilverd M, Engler N, Gustavsson B, Heinselman C, Kero J, Kosch M, Lamy H, Leyser T, Ogawa Y, Oksavik K, Pellinen-Wannberg A, Pitout F, Rapp M, Stanislawska I, Vierinen J

EISCAT, EISCAT_3D, Radar, Incoherent scatter, Atmospheric science, Space physics, Plasma physics, Solar system research, Space weather, Radar techniques

スカンジナビア半島上空の電離圏をEISCAT_3Dレーダーで立体観測したときの想像図(EISCAT科学協会提供)

欧州非干渉散乱(EISCAT)科学協会は、高緯度のさまざまな超高層大気研究に利用可能な非干渉散乱(IS)レーダー施設を、スカンジナビア半島北部とスバールバルの2ヶ所に設置し、運用してきた。そのうち、1980年代初めにスカンジナビア半島北部に設置されたISレーダーは、30年上前の技術に基づいているため、よりフレキシブルな観測装置を追加装備することが、現在求められている。特に、対流圏から電離圏上部までの広い高度領域において、3次元かつ立体的に物理量が得られることや、連続観測が可能であることが不可欠な条件として挙げられる。

そのような世界をリードするISレーダー施設を利用して、将来の科学研究を促進するための新たなレーダーシステム計画(EISCAT_3D)の検討が進められた。まず2005〜2009年にデザインスタディを行い、その後2010〜2014年に準備フェーズのプロジェクトを実施した。これらは欧州連合(EU)の大型研究枠組み計画(FP-6およびFP-7)による資金提供を受けて進められ、今後2020年代初頭にEISCAT_3Dレーダーの第1段階の稼働を目指している。この新たなレーダー施設では、フェーズドアレイ方式と、高度なソフトウェアおよびデータ処理技術を用いる。この種の "ソフトウェア・レーダー" は、世界中のISレーダー観測施設の草分けということができる。このレーダー施設は、EISCAT_3D科学コミュニティから集められた多くの科学課題の解決に役立つだけでなく、宇宙天気に関連する諸問題や人工衛星利用などの宇宙技術に依存する現代社会に対しても有益である。このレーダーは、オーロラオーバル内かつ成層圏極渦の端に位置するため、大気の長期変動や地球規模の大気変動の研究にも最適である。

本論文は、EISCAT_3D準備フェーズプロジェクトの一環で作成した、EISCAT_3Dのサイエンスケースの要約版である。本論文は、EISCATユーザーコミュニティから選抜した3つの国際サイエンスワーキンググループによって執筆された。本論文の共著者として記載したワーキンググループメンバーに加え、多くのEISCAT科学コミュニティメンバーによるディスカッションやサポートなどの貢献に感謝する。

日本語原稿執筆者:小川 泰信(国立極地研究所)
(敬称略)