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Progress in Earth and Planetary Science

日本語Abstract

Research

Interdisciplinary research

Session convener-recommended article JpGU Meeting 2014

201507201507

東シナ海コアトップ試料のGlobigerinoides ruberを対象とした海水酸素同位体比の見積もり

堀川恵司,小平智弘,張勁,村山雅史

δ18Osw estimate for Globigerinoides ruber from core-top sediments in the East China Sea

Horikawa K, Kodaira T, Zhang J, Murayama M

Oxygen isotope composition of seawater, Reconstruction of sea surface salinity, Mg/Ca–temperature, Globigerinoides ruber, East China Sea

上)各コアトップ試料中のGlobigerinoides ruberから推定された海水の酸素同位体比と塩分の関係,下)G. ruberのBa/Ca比と塩分の関係

東シナ海の堆積物に残された浮遊性有孔虫殻から過去の海洋表層塩分の変化を読み取り,アジアモンスーンの変遷を解明しようとする研究が精力的に行われている.このような研究では,主に,夏季に表層付近で生育し殻を形成するGlobigerinoides ruberを対象とし,その殻のMg/Ca古水温と酸素同位体比データから海水の酸素同位体比(δ18Osw)を算出し,δ18Oswと塩分に相関関係がある事を根拠として,アジアモンスーンの活動や変動強度が議論されている.しかし,この手法で算出されるδ18Oswは,使用するMg/Ca古水温換算式や酸素同位体比水温換算式によって変わるため,対象海域に適した換算式の選定が不可欠である。そのためには,海底表層部の試料を使い,どの換算式で現世のδ18Oswが算出できるかという検討が必要だが,東シナ海では,そのような検討は現在まで行われていない.また,東シナ海の塩分変動の復元に最適な北部沖縄トラフ域では,塩分–δ18Oswデータが報告されておらず,浮遊性有孔虫殻からδ18Oswが復元されたとしても,塩分への読み替えが行えないという問題もある.そこで本研究では,まず2013年7月の東シナ海で広域的に採取した表層水から,北部沖縄トラフ域での塩分–δ18Oswの関係(δ18Osw = –7.74 + 0.23 × salinity)を明らかにした.さらに,東シナ海のコアトップ試料からG. ruberを拾い出し,Mg/Ca比および酸素同位体比を分析し,Hastings et al. (2001)のMg/Ca古水温計(T (℃) = ln(Mg/Ca/0.38)/0.089)とBemis et al. (1998)の酸素同位体比水温計(T (℃) = 14.9 – 4.8(δ18Oc − (δ18Osw − 0.27‰)))を用いてδ18Oswを算出した結果,概ね現世の塩分–δ18Osw直線上にプロットされる事が確かめられた.つまり,上記の換算式を用いることで,東シナ海における正確なδ18Oswの復元と過去の海洋表層塩分の変化を読み取れることが明らかになった.また,浮遊性有孔虫殻から推定されるδ18Oswデータと同様に,近年,塩分指標として注目されているGlobigerinoides ruberのBa/Ca比が,東シナ海の海洋表層塩分の定量的な復元に利用できる可能性についても言及した.

日本語原稿執筆者:堀川恵司(富山大学大学院理工学研究部(理学))
(敬称略)