※Progress in Earth and Planetary Science は,公益社団法人日本地球惑星科学連合(JpGU)が運営する英文電子ジャーナルで,JpGUに参加する50学協会と協力して出版しています.

>>日本地球惑星科学連合

>>参加50学協会へのリンク

  • Progress in Earth and Planetary Science
  • Progress in Earth and Planetary Science
  • Progress in Earth and Planetary Science
  • Progress in Earth and Planetary Science
  • Progress in Earth and Planetary Science
Progress in Earth and Planetary Science

日本語Abstract

Review

Solid earth sciences

201503201503

高圧における金属鉄の音速: その実験的制約と外挿、そして地震学モデルとの比較

Antonangeli D, 大谷 栄治

Sound velocity of hcp-Fe at high pressure: experimental constraints, extrapolations and comparison with seismic models

Antonangeli D, Ohtani E

Sound velocity measurements, High pressure, hcp-Fe, Extrapolation schemes, Earth’s inner core, Comparison with seismic models

図1: 様々な実験について、同じ圧力スケールと状態方程式に基づいた室温でのhcp鉄の密度と縦波速度との関係。これまでの実験結果は良い一致を示す。

図2: 静的な実験(300K)と衝撃波実験(ユゴニオ)によって得られた金属鉄(hcp-鉄)の音速と密度の関係の比較。密度と縦波速度の関係(バーチの法則)の温度依存性を示す。

極端温度圧力条件下における鉄の音速の決定は、地球のコアの地震学的情報を解釈するうえで不可欠なことであるが、実験的に非常に困難な課題である。ここでは、hcp-鉄(六方最密充填構造(hexagonal close-packed, hcp)にある鉄)の縦波速度に焦点を絞り、金属鉄合金のメガバールに及ぶ超高圧下で音速を測定する様々な技術・方法について概説した。

これまで報告されてきた高圧下における密度・地震波速度の測定値は、用いられた圧力スケールや密度を求めるための状態方程式に違いがあり、そのまま比較することができない点に注意すべきである。ここでは、これらの問題点に留意して、これまで様々な方法で測定されてきた室温高圧下でのhcp-鉄の縦波速度と密度について、共通の圧力スケールと状態方程式を用いて校正し直し、比較することによって、縦波速度と密度の圧力依存性と密度依存性についての基準となる関係式を求めた。

この関係式は、地震波モデルと比較するために必要な、hcp-鉄の縦波速度と密度の温度依存性、融点近傍効果、ニッケルや軽元素の存在などの複雑な効果をより正確に評価して、最終的に信頼できる内核の化学組成を制約するために重要な基準となる。

日本語原稿執筆者:大谷 栄治(東北大学大学院理学研究科)
(敬称略)