※Progress in Earth and Planetary Science は,公益社団法人日本地球惑星科学連合(JpGU)が運営する英文電子ジャーナルで,JpGUに参加する51学協会と協力して出版しています.

※Progress in Earth and Planetary Science は,独立行政法人日本学術振興会JSPSより科学研究費助成事業(科学研究費補助金)のサポートを受けています.

>>日本地球惑星科学連合

>>参加51学協会へのリンク

  • Progress in Earth and Planetary Science
  • Progress in Earth and Planetary Science
  • Progress in Earth and Planetary Science
  • Progress in Earth and Planetary Science
  • Progress in Earth and Planetary Science
Progress in Earth and Planetary Science

Q&A

公益社団法人日本地球惑星科学連合(JpGU)が発行するジャーナル「Progress in Earth and Planetary Science」について,現状や趣旨をより深く理解していただくため,Q and A(Question and Answer)を用意いたしました.さらなるご質問がある場合には,事務局(peps_edit@jpgu.org)までお問い合わせ下さい.

ご投稿受付はSpringerOpenのジャーナルサイトです.

ご投稿の際には,JpGUのPEPSサイト内「投稿・APC・テンプレート」をご利用ください.

日本地球惑星科学連合のジャーナル「Progress in Earth and Planetary Science」の概要

「Progress in Earth and Planetary Science」とはどのようなジャーナルでしょうか?

  1. 1)「Progress in Earth and Planetary Science (PEPS)」は,日本地球惑星科学連合(JpGU)の新しい「オープン・アクセス・e-ジャーナル(Open Access e-journal)」で,2014年4月に創刊されました.
  2. 2)SpringerOpenのジャーナルサイト「Progress in Earth and Planetary Science」で,地球惑星科学をリードする雑誌を出版しています.
  3. 3)ジャーナルの構成は,レビュー(総論),優秀論文(連合大会の発表の中からセッションコンビーナが推薦し,投稿可),一般投稿です.
  4. 4)ジャーナル企画経営委員会および編集委員会(50%は海外編集委員)がJpGU理事会,参加50学協会,出版社と協力して,ジャーナルを運営しています.

詳細な投稿案内やテンプレートは,JpGUのジャーナルサイト「PEPS」でご覧いただけます.2014年度,2015年度は「ジャーナル促進期間」のため,投稿料の大幅な割引をしています.皆様の研究成果の積極的投稿をお待ちしています.

「Progress in Earth and Planetary Science」の由来

日本地球惑星科学連合(JpGU)のジャーナル名称はなぜ「Progress in Earth and Planetary Science」となったのでしょうか?

日本地球惑星科学連合ジャーナルとして,連合の名前を訳したものが,設立趣旨を表しているとの観点より,『日本 地球惑星科学 連合』から「日本」と「連合」を除いて直訳英語にすると『Earth and Planetary Science』となります.地球惑星科学の発展を祈願して,『Progress in Earth and Planetary Science』と命名することが理事会全員一致で決まりました.

『Science』と単数になったのは,地球惑星科学の統合的な『Science』を目指すためです.

「Progress in Earth and Planetary Science」の具体的内容

「Progress in Earth and Planetary Science」はどのような体制で出版されているのでしょうか?

本事業では2つの委員会が設置されています:①ジャーナル企画経営委員会と②ジャーナル編集委員会です.前者は,ジャーナルの中長期経営戦略(企画,財政,方針など)をたて,既存学会誌と協調しながら,実行に移します.値段の設定もこの委員会で決定されます.後者は,通常の原稿受付,査読審査,受理,出版を行います.特に,PEPS編集委員については,「真の国際誌」を目指して国内・海外の編集者の比率がほぼ50%ずつとなっています.

「Progress in Earth and Planetary Science」が掲載する論文のカテゴリーにはどのようなものがあるのでしょうか?

論文のカテゴリーに関しては,①地球惑星科学の知識などを整理したレビュー(総論),②連合大会の多角的・統合的な成果の発表の中から優秀な発表を文字媒体としたもの,③海外・国内の質の高い原稿,の三点が特徴です.海外からの投稿も着実に増えており,今後も提携出版会社と戦略を練り,いっそう魅力あるジャーナルに発展させたいと考えております.

「Progress in Earth and Planetary Science」で論文を発表する場合の条件について伺います:料金はどのようになりますか?

料金は条件により以下の3通りです.(2014年,2015年有効)

  1. ① 招待論文・レビュー(総論)・連合大会優秀論文の場合: 無料(100% Discount)
  2. ② Corresponding Author(責任著者)が JpGU会員の場合: 200ユーロ(80% Discount)
  3. ③ Corresponding Author(責任著者)が 非会員の場合: 1000ユーロ(通常価格)

「Progress in Earth and Planetary Science」におけるレビュー(総論)の位置づけはどのようなものでしょうか?

後述するように,図書館においてもジャーナルの比重が増しています.ジャーナルの方が,本から得られる情報よりも新しい傾向があるため,日進月歩の理科系の分野ではジャーナルの方に重点が置かれる傾向が近年顕著です.将来もこの傾向はさらに増していくと海外の大手出版会社は予想しています.

この観点からJpGUのジャーナルの方針をみると,レビュー(総論)は本よりも,その分野の最新の整理された情報に接する機会をもたらすと考えられます.そこで,レビューは「論文と本の中間」に位置し,最新の体系的な知識を集約する役割を果たすものと考えられます.このことは,大学等のゼミで積極的に使用していただくことで,コミュニティのレベルアップに繋がると考えます.出版が進行した段階で,key wordでレビュー(総論)にアクセスできるようにするよう予定しています.

レビュー(総論)に期待されるものを簡潔に表すとどのようなものでしょうか?

箇条書きで挙げると以下のようになります.

  1. あるテーマについて,分野を超えた研究者(学生)への解説と分野横断的な学問に発展するための取り組みと将来の課題
  2. 地球惑星科学の知識・理論・概念などを整理し,新たな研究の鉱脈の提示
  3. 個々の論文だけでは理解しにくい,あるテーマの全体像の提示
  4. 本から得られる情報より最新の体系的な知識
  5. 新規プロジェクトについては,その分野の蓄積されたデータと解釈のまとめと今後の課題
  6. 過去のプロジェクトについては,プロジェクト以前の分野の現状,プロジェクトによる進展,そして将来の課題
  7. 大学のゼミでの使用による若手研究者(学生)への最新情報の提供

レビュー(総論)が実際,研究の進展に貢献しているという実証データはあるのでしょうか?

レビュー(総論)は,特に進展の著しい分野において,有効な学術情報を獲得する場として機能しています.これは,個々の論文のエッセンスをまとめたものから,現状を把握し,次の有望なテーマを探る道具であると言えます.実際,薬理学・薬学の分野の雑誌について,英文で出版された国際誌について,IFについて,トップ(IF=27)から7番目までの雑誌の中で,6雑誌がレビュー(総論)を積極的に掲載しています(棚橋・宮入 2004).PEPSもこのように即座に研究の進展につながるよう貢献したいと考えています.なお,日本人による英文レビュー(総論)の出版は急速に増加しており,10年間で3倍となっています.

日本人が英文でレビュー(総論)を書くのは,難しいのではないでしょうか?

英語が母国語でない研究者が長文のレビュー(総論)を書くことは多少ハンデがあるかもしれません.しかしながら,国際プロジェクトなどの提案書の執筆では,「その提案書の半分がこれまでの研究のレビュー(総論)で,これに基づく新しい提案」が常です.この場合,複数著者があらかじめ議論をして,適当な項目ごとに分担執筆を決め,そして,最終的に1つの提案書(論文)とすることがよくあります.この方法であれば,レビュー(総論)執筆も可能と考えます.2014年の時点での状況をご報告いたします.予想に反して,レビュー(総論)執筆および投稿が積極的に進行しています.連合大会などでのkey note(基調講演)の方による執筆は,その場に出席できなかった方々にとって非常に重要な情報となるかと思います.

連合大会での優れた成果報告とは,具体的にはどのようなものを想定していますか?

JpGU加盟学会のジャーナルとの競合を避けるためにも,連合大会での口頭・ポスター発表を「Progress in Earth and Planetary Science」に投稿していただければと思います.現在,連合大会では約4,000件の発表がありますので,1%(5%)なら40件(200件)の優秀な論文が掲載できます.特に,各セッションコンビーナによる「科学的見地」からの推薦論文については,掲載料金などで優遇措置をとりたいと考えています.2014年の連合大会では,セッションは193ありました.

JpGU連合大会の国際化促進は「Progress in Earth and Planetary Science」にも影響を与えるのでしょうか?

連合大会の特別国際セッションの開催を促進し,著名な海外研究者に招待講演を依頼したり,内外で活発な研究活動を行う研究者によるセッションを財政的にも後押しして,このようなセッション発表者からの投稿意欲を高められたらと思っています.また,国際シンポジウムについて,JpGUの趣旨に合ったものについては,予算を考慮しながら「ジャーナル特別国際シンポジウム」として,key note(基調講演)の方による執筆を条件として旅費の補助も検討しています.

招待論文やセッションでのコンビーナーによる推薦論文の投稿では,査読は省略されるのでしょうか?

一流の国際誌と同様に査読(peer review)をします.これは,質の向上,公平性に鑑み,すべての論文について平等に作業を行います.

PEPSは,なぜ特集号でなく「CALL FOR PAPERS」といった形での企画を組むのでしょうか?

この企画は「SPEPS」=「SPecial call for Excellent Papers on hot topicS.」と呼ばれます.

ある特定のテーマについて論文を集めるものです.通常の特集号と異なるのは,論文投稿をオープンとすることです.その意図は,特定の地球惑星科学のテーマについて,最先端の研究論文,および全体を網羅したり統合するような総論(review articles)の掲載を通じて,そのテーマおよび周辺の科学的発展をジャーナルとして支えるものです.「SPEPS」では基調講演的な総論(review articles)が含まれていることを原則とします.

期待されるものは,以下のとおりです.

  1. 1)地球惑星科学の特定のテーマ(例:プロジェクト,国際プログラム成果など)に関する基調講演に相当するような総論(review articles)の発表
  2. 2)地球惑星科学の特定のテーマ(例:プロジェクト,国際プログラム成果など)に関する統合的,融合的な研究論文の発表
  3. 3)地球惑星科学の特定のテーマ(例:プロジェクト,国際プログラム成果など)に関する論文の発表
  4. 4)特に発展している分野では,(コーディネーターや編集長などが把握している内容を超える)世界最先端の成果の発表
  5. 5)それに基づくその特定分野および周辺分野の方向性を示唆するような発表

ということができます.この「SPEPS」は「SPecial call for Excellent Papers on hot topicS」にも表れているように質の高い内容を掲載します.通常号と同様の査読システムを通過した論文のみが掲載されます.

オープン・アクセス・e-ジャーナル

「オープン・アクセス・e-ジャーナル」とはなんでしょうか?

オープン・アクセスとは,読者がお金を支払わずに自由に閲覧できるという意味で,e-ジャーナルとは,紙媒体に印刷しない電子ファイルのみで刊行されるジャーナルのことです.

オープン・アクセスの特徴はなんでしょうか?

オープン・アクセスでは「版権は学会と出版会社がもつ」ことになりますが,これは論文のアーカイブの保存や事務処理をスムーズにするためです.実質的には「著者が版権を有す」とお考えいただいて結構です.誰でもネットを通じて読むことができます.もちろん,著者のホームペ-ジに論文そのものを掲載することも自由です.日本は母国語が非英語圏であり,ジャーナルへのアクセスという点ではこれまで英語圏のジャーナルとは幾分立場が弱い傾向がありましたが,オープン・アクセスの場合にはその立場は強化され,key wordsなどを介して検索にかかり,世界中の研究者に読まれる頻度が高まると予想されます.

オープン・アクセスの派生効果としてどのようなことを挙げることができるでしょうか?

現在は図書館が雑誌を購入して,それにアクセスして論文を読むようになっていますが,逆に言うと,図書館で雑誌の購入をやめてしまうと,新しい論文が読めなくなってしまいます.オープン・アクセスであれば,たとえ図書館経費などが削減されたとしても,「読者はお金を支払わずに自由に閲覧できる」ので,閲覧可能のままであり,問題はありません.

従来の図書館型購読モデルでパッケージ契約が破棄された場合はどのようになるのでしょうか?

図書館にすでに購入された紙媒体の冊子はもちろん読めます.問題は電子化された部分です.通常,購読契約を破棄してしまうと,破棄されてからの購読のみならず,アーカイブへのアクセスもできなくなります.例えば,Cジャーナルというものがあったとします.2012年の契約を最後に,購読契約を延長しなかった場合,2013年以降のCジャーナルも読めないばかりでなく,通常は過去に発行されたものについても読めなくなります.

経済情勢は,図書館での雑誌購読にも影響するのでしょうか?「オープン・アクセス・e-ジャーナル」と対比して,説明していただけませんか?

大学の図書館で雑誌購読の契約額が毎年数%上昇し,大きな問題となっていることは皆様のご存知のとおりです.また為替変動によって円安が進むと,雑誌の購入価格が大幅に増えることが危惧されます.海外の大手出版会社はしばしばパッケージ契約を提案します.その場合,約2,000雑誌の購読が可能ですが,大学予算が不足して個別契約になると,購読できる雑誌数は激減し,200雑誌程度になるとの試算もあります.このような場合でも「オープン・アクセス・e-ジャーナル」は何らの制限なく皆が閲覧できるので,問題ありません.

冊子媒体であると,図書館が購入した過去の雑誌は永久に読めますが,「オープン・アクセス・e-ジャーナル」の場合にはどのようになるのでしょうか?

検討している「オープン・アクセス・e-ジャーナル」は,世界各地にデータを分散させて保存するサーバー群で永久に保存される規則が適用されます.ほとんどの大手・中堅の出版社では出版された雑誌が永久に保存されることになっています(注意:オープン・アクセスとはいっても永久には保存される保証のない会社も存在します).そこで,一旦,「オープン・アクセス・e-ジャーナル」に掲載されたものは,将来にわたって自由に閲覧できることが保証されます.将来,出版社(出版プラットフォーム)が変更になった場合も,自由に閲覧できることが保証されます.EGUの「オープン・アクセス・e-ジャーナル」群もこのようなサービスが適用されるように永久アーカイブに責任を持つ会社と契約を結んでいます.現在,PEPSはSpringer社と協力して出版を行っていますが,「自由閲覧」,「永久アーカイブ」について最高ランクのサービスを提供できています.

「Progress in Earth and Planetary Science」のアーカイブはどのように保存されるのでしょうか?

出版された論文のアーカイブは,世界の数カ所にある巨大なデータセンターに半永久的に保存されることが世界的規模の出版社では義務づけられています.現在,pdfが作製されていても,巨大データセンターに保存されていないと,出版会社が倒産・廃業などした場合には,pdfは散逸してしまうかもしれません.「Progress in Earth and Planetary Science」の場合には,そのようなことはありません.また,著者が亡くなった後でも,その論文を含めて,再編集して本などを作る場合であっても,論文の著者を記せば,自由に使用することができます.

冊子体では,他の論文と合わせて冊子体を作るために,出版を待つことがありますが,これは「オープン・アクセス・e-ジャーナル」でも同じなのでしょうか?

違います.

「Progress in Earth and Planetary Science」では,論文が受理され次第,「doi番号」がついて,電子出版されます.ですから,2014年については「1巻のみ」,すなわち「Volume 1」のみで随時発行となります.

そのような場合,JpGUは網羅する範囲が広いので,バラバラの内容となってしまうのではないでしょうか?

たしかに,doi番号で並べればそのようになりますが,電子出版なので,「Progress in Earth and Planetary Science」のサイトに行くと,「セクションごとに配列した目次」とすることもできます.年月が経ち,論文数が増えた場合には,例えば「key words」などで配列した目次を提供することもできます.従来の冊子型とは異なったサービスを受けることができます.

「Progress in Earth and Planetary Science」に出版された論文のpdfをホームペ-ジで紹介できますか?

少し前までは,出版された論文の版権は出版会社にあるので,これは禁止されていました.昨今では,個人用に限って許されています.「Progress in Earth and Planetary Science」は「オープン・アクセス・e-ジャーナル」なので,皆様個人のホームペ-ジに,ご自分の論文のpdfを自由に掲載できます.これにより,成果をアピールすることができます.

「オープン・アクセス・e-ジャーナル」のビジネスモデルとはなんでしょうか?

既存ジャーナルの経営は基本的に図書館経費に依存しています.「オープン・アクセス・e-ジャーナル」ではコストの負担者は幾つかに分類できます.①研究費提供組織,②研究所,③投稿者が代表的なものです.最も異なる点は「図書館経費ではない」点です.一般的には,投稿者(著者)が投稿料としてお金を支払うという場合が多いですが,では投稿者が必要経費を100%支払っているのか,というと実際には違うことが多いようです.というのは,オープン・アクセス・e-ジャーナルの先進地域であるヨーロッパでは,投稿者は一部を支払うのみ(場合によっては負担なし)で,①研究費提供組織,②研究所など研究費による補填が行われることが多いようで,投稿者の実質負担(自身の研究費からの出費)は軽減されています.

「Progress in Earth and Planetary Science」では,「独り立ち」にむけてどのような目標を設定しているのでしょうか?

「オープン・アクセス・e-ジャーナル」で「独り立ち」するには,この分野での主要国際ジャーナルと同等以上の評価を得る必要があります.なぜなら,「オープン・アクセス・e-ジャーナル」は現在のところ投稿者が掲載料金を支払うことになっているからです.世界の研究者から魅力のある雑誌と思われるように,「情報発信力を高める」必要があります.ただし,JpGUは「単純に不採択率を上げる」ことは考えていません.「質の高い論文の投稿」を促す努力をしていきたいと思っております.連合大会のセッションコンビーナによる推薦論文も一例です.

いまさら「オープン・アクセス・e-ジャーナル」を立ち上げてもうまくいくのでしょうか?

まず,レビュー(総論)論文に関してはプロジェクトですでに実例があるのでご紹介しましょう.国際プログラムのIODP(統合国際深海掘削計画)プロジェクトでは,提案書は科学者による国際的な研究チームによって準備・提出されます.掘削提案書は,通常数十ペ-ジから成っていますが,その前半はその研究関連分野のレビューとなっています.提案書はチームでworkshopなどを通じての議論,E-mailでの交信で作られますが,この10年間日本人による提案も数多くなされてきました.このように英文のレビューであってもあるテーマ設定によって日本人にも十分対応でき,しかも国際プロジェクトなどを遂行している場合には,その国際チームで執筆していただければ,十分対応は可能と考えます.さらに調査航海後には成果論文が国際誌に30-40編出版されますので,そのsynthesisなどをJpGUジャーナルに投稿していただくことで,分野外の方も全体像を把握しやすくなります.レビュー論文は,広範囲の知識の整理につながり,問題点の指摘,将来発展すべき事項の示唆も与えるので,コミュニティにとっても重要と考えます.

次に,連合大会でのセッションにおいて,「多角的側面あるいは統合的な概念創出など」で優れた発表に関しては,例えば発表の数%でも投稿して下されば,魅力的なジャーナルの内容となります.そして,大手商業出版会社のジャーナル以上に皆様に支持されるために,継続的な努力が必要なことは当然ですが,まずは皆様のご協力も得て,質の高い原稿を集めたいと思っています.

「オープン・アクセス・e-ジャーナル」がこの数年非常に伸びている理由は何でしょうか?

ヨーロッパなどでは,「オープン・アクセス・e-ジャーナル」が新しい大きな潮流となっています.この哲学は,「研究成果は納税者も含めた社会全体に還元されるべきである」という考えに基づくものです.誰もがアクセスできるよう,EUは巨額の資金を投じて,「オープン・アクセス・e-ジャーナル」とともに「既存雑誌のオープン・アクセス化」を推進しています.北欧などの国では,国民の税金で行われた研究成果は「オープン・アクセス・e-ジャーナル」(全ての国民が無料でアクセスできる)に投稿する事が義務づけられています.また,アメリカでもアメリカ国立衛生研究所(NIH)から予算を受けて行った研究の成果は,発表後1年以内に公衆が無料でアクセスできる状態にしなければならない,ということが2007年末に法律で義務化されました.

「オープン・アクセス・e-ジャーナル」に関したヨーロッパの動向はどうでしょうか?投稿者が経費を負担ということから始まりましたが,将来もそうなのでしょうか?

ヨーロッパでは,研究費提供組織を通じてオープン・アクセス・e-ジャーナルへの投稿を促しています.具体的には,著者の実質負担を大幅に軽減するよう一種の補助金を出しているとのことです.例えば,C研究所がD出版社と包括契約を結んでいる場合には,C研究所の研究者がD出版社の「オープン・アクセス・e-ジャーナル」で論文を発表しても,自己負担でなく,C研究所が公的資金で負担するといったことが行われています.

日本政府も「科学研究費補助金(研究成果公開促進費)」を通じてオープン・アクセス支援にのりだしましたが,趣旨は①「成果は納税者にオープンに還元」,②「図書館からオープン・アクセス支援への重点の移行」という世界の先進国の大きな流れにそったものです.未来のことは誰にもわかりませんが,この分野で前を走るヨーロッパを見る限り,オープン・アクセス・e-ジャーナルへの公的支援は期間限定的なものでなく,継続的に発展するものと予想されます.

インパクトファクター(IF=Impact Factor)

IFについて,教えて下さい.

IFはある雑誌の発行された論文がどの位引用されたのかを示す数字で,この値が大きいほど一つあたりの引用率が高いということになり,一般的に雑誌として高い評価を受けています.例えば,「Progress in Earth and Planetary Science」は2014年4月から発行されていますが,2014年(4~12月)と2015年(1~12月)に出版された論文が2016年に引用された延べ回数を,2014年と2015年に出版された総論文数で除したものが,2016年のIFとなります.そこで,秋以降より年が明けて春までに出版した方が有利ということになります.一方で,IFの計算対象となる雑誌は,基本的に年間を通じて出版が継続していることも求められているので,年後半にも継続的に出版が求められています.年間に出版される最低の論文数については,公式の発表はありませんが,海外大手出版社の情報によると,年間25編程度と言われています.

研究の質の定量的評価指標として被引用数を用いる場合の注意とはどのようなものでしょうか?

被引用数ベースで影響度の測定を行う際の問題には,論文が引用され始めるまでのタイムラグの存在や次のQ&Aに示したような様々な弊害が大きいことも事実です.特に,地球惑星科学では,タイムラグが長いこと,研究者の人数が他主要分野と比べると少ないことなどを挙げることができます.

IFの誤った使い方が問題との指摘がありますが,どのような使い方でしょうか?

IFは,元来「どの雑誌を図書館に置くか」というジャーナルの評価指標として使用されてきました.IFの高いジャーナルに掲載されたすべての論文が,多く引用されるわけでもありません.ジャーナルによっては被引用数上位25%の論文が引用全体の89%を稼ぐといった報告もあり,非常に高いIFを示すジャーナルでも,ほとんど引用されない論文が相当数掲載されていることが実証されています.これは,一部の論文だけが,被引用数の多くを獲得しているということを意味しており,業界の人にはよく知られています.

一つのジャーナルの中でも論文ごとに様々な性質があり,IFを用いて,雑誌でなく「個々の論文や研究」を直接評価することは,一般には誤りだとされているので,注意を要します.

なぜ「Progress in Earth and Planetary Science」では高いIFを目指すと科学研究費補助金(研究成果公開促進費)での申請書に書かれたのでしょうか?

まず,前提条件について述べます.科学研究費補助金(研究成果公開促進費)では,ジャーナル評価に関して「数値目標」を記すことが強く求められています.

従来型のジャーナルでは,論文掲載の大部分の支払いが図書館経費(税金)で賄われます.しかし,「オープン・アクセス・e-ジャーナル」では,原則投稿する著者が支払う必要があります.この時点で,ビジネスとしてはハンディキャップがあります.そこで,「オープン・アクセス・e-ジャーナル」では,誰でも読める(閲覧数の増加),皆が注目するジャーナルとする必要があります.

現在のほとんどすべてのジャーナル出版では,良し悪しはともかく現実として「インパクトファクターゲームに乗る」ことが必須となっているのです.先のQ&AにIFの注意事項について記しましたが,「雑誌の評価指標としてIFは一定の価値」,「ブランド力との一定の相関」を認められており,海外の人にとっても魅力的なジャーナルで海外情報発信強化を目指すとなると,ジャーナルのIFは高い方がよい,ということになります.

IFが高いことは,それほど重要でしょうか?

IFは,分野の研究者数などにも影響を受けます.地球惑星科学の分野の研究者・学生の人数はあまり多くないので,医学・生物学などと比較すると低くなってしまいます.同じ分野で比べた場合,コミュニティへの影響度が高い論文が掲載されていると高くなる傾向があります.PEPSは国際的なフレームワークの中で,海外からも一目置かれる雑誌を目指しています.ある程度高いIFは目標でありますが,最終的な目的はあくまで「質の高い論文を掲載するよい雑誌」を作ることです.これを認識して,編集活動を行っています.

高いIFを目指すと投稿論文の採択率が下がり,掲載論文が少なくなり,本来の目的の海外への情報発信力が小さくなってしまうのではないでしょうか?

「Progress in Earth and Planetary Science」では,採択率を下げる(=査読に際し,rejectを多くする)ことは考えていません.まず,「質の高い原稿を集める」ことを最優先と考えています.レビュー(総論)とともに,連合大会での各々のセッションでの推薦論文などを中心に原稿投稿を呼びかけているのも,そのためです.連合大会での発表数は約4,000にあり,セッションの総数も193にのぼります.もし,発表数の1%(あるいは5%)で40(200)論文,各々のセッションでの推薦論文が投稿していただければ約193の論文投稿が期待されます.「質の担保」,「公平性」の観点より,招待論文であっても「査読」による審査で投稿の採否が決まります.2013年10月に投稿受付開始以来, AGUやEGUのジャーナルに匹敵する質の担保を目指して査読作業をしています.PEPSに論文を投稿そして掲載を望む方に対しても最善を尽くせるように努力いたします.

英文によるジャーナル出版に関して理学系の他の分野の動向はどうでしょうか?

日本化学会には4つのジャーナルがあります.この中の2つは,海外の出版社との提携で出版されていますが,日本化学会が主導的役割を果たして高いIF(4と5)を維持しています.生物関係では,植物生理学会の出版する英文誌が過去にIFを約2から4以上へと,この分野の世界的成果を掲載できるまでに成長したと皆から高く評価されています.また,物理学の分野では,過去のノーベル賞に関係した論文が日本の学会の英文誌に掲載されているそうです.とはいえ,極東に位置する日本でのジャーナル出版に関して,ほとんどの学会が大変な苦労をしているのも事実です.

*植物生理学会の国際誌のIFは以下の通りです.

FY,IF(2010年4.26,2009年3.59,2007年3.65,2004年3.26,2001年2.43,2000年2.31)

将来への質問

JpGUはレター誌も発行するのでしょうか?

「Progress in Earth and Planetary Science」ではレターは扱いません.その理由は,関連学協会でレター誌が出版されている場合があるためです.数年後の将来に,複数学会からの希望があればそれらの分野について個別に対応することを検討しますが,JpGUの方から特定の分野に関するレター誌の発行を積極的に提案することはありません.

科学研究費補助金が終了したあと,JpGUジャーナルは独り立ちできるのでしょうか?

JpGUでは,これまで連合大会での口頭・ポスター発表での発表を英文誌に文字媒体で出版していく,ということを検討し,2012,2013年度予算にジャーナル出版費の一部準備金を計上してきました.今回もJpGU独自の予算と科学研究費補助金(研究成果公開促進費)を併せて投入することにより,より効果的に目標を達成しようと考えています.

今回の科学研究費補助金「成果公開促進費」は,第1期が5年間で,スタートアップ費用を補助する形をとっています.JpGUは,その間にオープン・アクセス・e-ジャーナルで投稿者にも魅力的なジャーナルへと発展できるように努力したいと思っています.(参考:オープン・アクセス・e-ジャーナルの項目のヨーロッパの動向も参考にしてください.)

出版事業は補助金受給期間終了後も継続すると思いますが,この点についてはどのように考えているのでしょうか?

連合大会での優れた口頭・ポスター発表を,文字媒体として残しておくことは重要です.サイエンス・セクションボード,あるいはユニオンサイエンスボード主導の地球惑星科学に関する「多角的側面あるいは統合的な概念」の創出に寄与するようなセッションの企画やそれらの発表論文の出版などができれば,JpGUがジャーナルを固有に有する意義は大きいと考えています.

図書館経費が高騰し,知的財産へのアクセスという点で問題となっていますが, JpGUジャーナルはこの問題にどのように影響すると考えているのでしょうか?

既存のジャーナルは図書館からジャーナル代金を回収しています.先般,海外A会社のパッケージ購読価格が30%以上値上がりしました.その際,不買運動をしてはどうか,といった議論もでましたが,寡占状態となっている現状では,それはかえって研究者の活動を低下させるという理由で見送られました.JpGUのオープン・アクセス・e-ジャーナルが将来伸びて,A会社の雑誌と同等のレベル以上になれば,JpGUジャーナルに投稿されるよう誘導できると考えられます.また,これは一般市民の税金で実施された研究を社会に還元することにもつながると考えます.

JpGUジャーナルは今後,どのように育成していく方針でしょうか?

JpGUジャーナルについては,最初から多数の論文の掲載をするというより,現実的な対応として,JpGUのコミュニティと関連する海外の研究者に依頼などをしながら,質の高い論文を集めることを最優先とし,その後,掲載数を増やしていければと考えます.なお,海外大手出版社の言によると,IFが0.5上昇すると,投稿先の国が変化していくそうで,スタートアップが肝心と考えます.なお,育成については,「ジャーナル企画経営委員会」を通じて詰めていく予定です.

情報発信とジャーナル

世界の中での位置づけはどのようなものを目指しているのでしょうか?

連合は,自律的機能を持つ5つのサイエンス・セクションボードが学術活動の主体となり,加盟各学協会と連携しながら,我が国の地球惑星科学を活性化してきています.

海外への情報発信という意味では,科学者のレベルが重要なのであって,ジャーナル出版の重要度は下がるのではないでしょうか?

文部科学省の統計によると,日本人の研究成果はすでに一流のレベルに達していると評価されています.海外の学術誌に投稿して受理されなかった日本人の優れた論文が日本の雑誌に掲載され,その後時代を変える高い評価を受けた例もあります.画期的な考えを掲載できる場を整えておくことは重要です.また,日本が開拓してきた分野および関連する分野などについて,一つの学会雑誌では扱いきれないテーマについて,誌上発表の機会を整えておくことも重要と考えます.JpGUジャーナルは,連合大会での分野横断的なセッションの成果を文字媒体で発表する場合の受け皿としても機能したいと考えています.

海外の研究者(投稿者)は日本のジャーナルの何の情報が知りたいのでしょうか?

海外の学会でプロモーション活動をしている化学系の学術誌担当者が実施したアンケート調査によると,そもそも日本のジャーナルの存在自体の認知度が低いようで,知りたい情報は①日本で発行されているジャーナル,②インパクトファクター,③投稿の方法,④掲載料金,⑤審査期間となります.ちなみに,この化学系の雑誌群は日本から出版されているジャーナルとしては,トップクラスのものです.

海外の研究者(投稿者)にも魅力的に映るようにするため,JpGUジャーナルはどのように努力するのでしょうか?

認知度を高めるため,ジャーナルの特徴である「地球惑星科学の多角的側面からの解析,統合的概念の創出」といった趣旨を理解してもらいながら,世界の研究者へのアンケート調査によると投稿者が重要視するとされるインパクトファクター,掲載料金,審査期間が魅力的になるようJpGUジャーナルについても努力したいと思います.

JpGUの団体会員(加盟学会)が出版するジャーナル(英文誌)と競合しないのでしょうか?

JpGUは地球惑星科学関連学会と協力して,お互いに活動を高めることを目標としてきました.そこで,ジャーナル発行においてもなるべく競合しないよう,レビュー(総論)あるいは連合大会での優れた成果報告などを主体とした内容を扱う方向で準備しています.また,ジャーナルの出版形態については,共同出版,あるいは出版の協力・協賛などを考えています.一例ですが,共同出版の場合,学会側から見た時に「私達の学会もJpGUジャーナルを出版している」と言えます.

学術出版にはジャーナル・本がありますが,図書館経費の中での位置づけはどのようになっているのでしょうか?

学術出版は大きくジャーナルと本に分類されます.日本の場合,図書館経費に占める割合は大学によって違いますが,だいたい3:1となっています.最近,「冊子体の本が売れない」との話を聞きますが,図書館経費においてもジャーナルの割合が増加しているようです.その理由は最新の情報が掲載されるからです.また,欧米の世界的規模の出版社による寡占状態により,図書館への販売促進などに関係した編集方針などに出版会社が強く関与する事例もあります.

出版会社との契約に係る要点

「Progress in Earth and Planetary Science」の命名権というのは,誰が持っているのでしょうか?

いわゆるtitle rightと言われるものです.このジャーナルのオーナーはJpGUなので,出版会社との契約が終了すれば次の契約出版社と同名ジャーナルを出版することになります.現在,PEPSはSpringer社と協力して,地球惑星科学の分野で国際的に一流誌となるよう努力しています.

契約書は日本語で作成されるのでしょうか?

これは問題が起こった時の法廷の場所に関連します.通常,その出版会社の本社のある国の法律が適用され,指定する言語(通常英語)となる場合が多いようです.日本語訳も作られますが,法廷で採用されるのは,オリジナルの契約書となります.このような事態にならないよう,これまでの係争のトラブルがほとんどない会社を選ぶことが重要です.今回はSpringer社と契約し,契約言語は英語となりました.

論文のハンドリングに関するコンピューター経費などは別途かかるのでしょうか?

これまで誌上発表を行ってきた場合には,印刷ペ-ジ数などで値段が変わることも結構あり,JpGU加盟学会には苦労をされてきた雑誌も多いかもしれません.電子ジャーナルの場合には,コンピューター経費,査読に係るベーシックなサービス,版組みなど,論文出版までの全部を一括して契約する場合が多く,印刷する場合と比較するとペ-ジ数による経費の増減はあまり関係ありません.

doi番号などは著者が申請するのでしょうか?

これは出版会社が申請するので,著者には事務上の負担はおかけしません.ただし,将来,出版会社を変更した時には,次の出版会社がdoi番号申請しなければならないので,注意が必要です.

日本地球惑星科学連合のジャーナル出版の背景

現在,日本地球惑星科学連合(JpGU)大会はどれ位の規模なのでしょうか?

JpGUの起源は地球科学関連5学会の合同学術大会の開催に遡ります.JpGUは2005年秋の日本学術会議の改革に対応して地球惑星科学関連学協会を調整する窓口組織として発足し,2009年の社団法人を経て,2011年に公益社団法人となりました.現在,地学系50の学協会が加盟しています.

地球惑星科学は複雑で,そこで生起する現象は多様です.日本地球惑星科学連合(JpGU)が毎年春に幕張メッセ国際会議場あるいは横浜国際平和会議場で開催している「連合大会」は,とくに地球惑星科学的現象を分野横断的かつ多角的に解析した内容などを議論する場として機能してきています.

2014年には口頭・ポスターの全投稿件数は3,806件(口頭発表2,428件,ポスター発表1,378件)を記録し,毎年増加傾向にあります.登録参加者3,811名も含めて全参加者は7,046名で,AGU(American Geophysical Union: 米国地球物理連合),EGU(European Geosciences Union: ヨーロッパ地球科学連合)の大会に次ぐ規模となっています.JpGUの総会員数も約9,000名となり,AGU,EGUとMOU(覚え書き協定)も結んでいます.

公益社団法人日本地球惑星科学連合(JpGU)がなぜジャーナルを出版する必要があるのでしょうか?

JpGUでは電子媒体による英文誌出版を検討してきました.2012年度出版開始を目指して,ジャーナル出版の準備金を2012年度予算に計上しました.この事業目標は「地球惑星科学の国際情報発信強化」ですが,具体的には①地球惑星科学における世界の一極を担える「オープン・アクセス・e-ジャーナル(電子ジャーナル)」の創刊,②連合大会の多角的・統合的な成果の公表,③加盟学会との共同発行です.この概念は,今回の「科学研究費補助金(研究成果公開促進費)」の趣旨そのものでありました.

連合がジャーナル出版をする意義とはどのようなものでしょうか?

個々の研究者のレベルでみると,海外のジャーナルへの論文の投稿で十分との意見があります.一方,コミュニティのレベルでみると,「学問の自由・独立」といった観点から地球惑星科学関連を網羅するようなジャーナルの存在は重要と考えられます.ジャーナルは研究者の成果の発表の場ですが,これまでも社会の混乱(経済的困窮,戦争など),イデオロギーの対立などにより世界的レベルで誌上発表などが影響を受けたことがあります.そこで,日本のコミュニティとして「学問の自由・独立」といった観点からも独自のジャーナルをもつことは重要です.一般的に影響力のあるジャーナルを発行することが,そのコミュニティの力と評価されます.

JpGUと海外のコミュニティとの関係についての将来像はどのようなものでしょうか?

JpGUは AGU(AGU:アメリカ地球物理学会), EGU(European Geosciences Union: ヨーロッパ地球科学連合), AOGS(Asia Oceania Geosciences Society: アジア・オセアニア地球科学協会)とも協定を結んで,協力関係を築いてきました.ジャーナルの発行は,JpGUが世界の重要なプレーヤーとして役割を担える発展の重要なステップとなります.世界五大陸に拠点をもち海外流通を得意とする出版会社と組んで創刊されたオープン・アクセス・e-ジャーナルは,この分野で世界のトップクラスのジャーナルの一角を担い,将来的に日本学術振興会の補助なしに「独り立ち」できるまで成長したいと計画しています.

JpGUのみで科学研究費補助金(研究成果公開促進費)の提案をしたのでしょうか?

2013年10月2日にJpGU加盟49学協会長会議が開催されました.この会議で,「49学協会長との共同提案である」と決議されたので,JpGU+加盟49学協会の提案というのが,正しく,提案書およびヒアリングでも,そのように表明してきました.この方針は加盟50学協会となった現在も変わっていません.

その他

日本人同士の引用が少ないといううわさがありますが,本当でしょうか?

JpGU加盟学会の国際誌のジャーナルの編集長を経験された複数の方のお話によれば,残念ながら,「日本人の論文を(引用が妥当なのに)引用しない」傾向があるようです.これからは,欧米,日本関係なく,関連する論文を引用するようになればと思い,「日本人の成果を認め合い,相互の論文引用を促進」へメンタリティの意識改革が必要かと考えます.

今回のJpGUジャーナルの立ち上げに際しては,加盟学会と協力して,パートナー雑誌,加盟学会誌とともに,「日本人による研究成果の再評価」(引用を含む)といった点についてもキャンペーンを推進したいと考えています.誤解が生じるといけないので,当たり前のことですが書いておきます:「妥当性を欠くような無理な引用をお願いしているわけではありません」.不正に引用を強要したと判断された場合には,Thomson and ReuterなどによるIFの採用からはずされてしまいます.

平成25年7月1日より無償で提供の電子出版物(PDFファイル)は国立国会図書館への納入が出版者に義務づけられましたが,海外出版会社の場合,どのような扱いになるのでしょうか?

日本地球惑星科学連合より電子出版物「Progress in Earth and Planetary Science」を国立国会図書館に献納できるように手続きしました.

学問の進展は速くなっていて,次々に新しい論文が出版されていますが,これらを読み尽くすことはできるのでしょうか?

研究費の増加,研究者の増加を反映して,ジャーナルの数も増加し,もちろん出版される論文も急速に増加しています.一方で,研究者が研究に配分できる時間は限られています.1年間にどの位論文を読んでいるかという調査の過去40年間にわたるデータに基づくと,1977には150本だったものが,今世紀にはいり頭打ちとなり,欧米研究者で年間260本となっています.限られた本数しか読めない現状では,より質の高い論文が求められるということになります.高いレベルのレビュー(総論)は数十本以上の論文のエッセンスをまとめたものです.PEPSは,レビュー(総論)の出版を通じて,世界の最前線を切り拓くコミュニティのレベルアップにも貢献したいと考えています.