※Progress in Earth and Planetary Science は,公益社団法人日本地球惑星科学連合(JpGU)が運営する英文電子ジャーナルで,JpGUに参加する学協会と協力して出版しています.
日本語Abstract
Research
Human geosciences
Session convener-recommended article JpGU Meeting 2016
201801201801
280mDEMを用いたグローバルな地形分類:領域分割、クラスタリングおよび再分類
岩橋 純子,神谷 泉,松岡 昌志,山崎 大
Global terrain classification using 280 m DEMs: segmentation, clustering, and reclassification
Iwahashi J, Kamiya I, Matsuoka M, Yamazaki D
Geomorphological map, Terrain classification, MERIT DEM, Japan, Geomorphometry, Landform
MERIT(Multi-Error-Removed Improved-Terrain)から内挿計算した280mDEMを用い、ポリゴンベースのグローバルな地形分類データを作成した。まず、斜面傾斜と凸部の分布密度の対数値を用い、全球の領域分割を行った。次に、尾根谷密度を加え、k-meansクラスタリングによって、全球を40個のクラスタに分割した。さらに、それらのクラスタを地形学的な地形グループに再分類した。40個のクラスタは日本の既存の地質・地形分類データと比較することにより、地形・地質的に異なる特徴を持つ12個のグループにまとめられた。加えて山地・丘陵地は、合成尾根谷密度を用いて細分された。最終的に15種の地形グループが作成された。この日本を基にしたグルーピングが他の地域でも有効か調べるため、カリフォルニアとオーストラリアの地質図・岩相分類図とクロス集計を行った。その結果、280mDEMを用いた地形分類は、1kmDEMを用いた過去の研究より、段丘地形の抽出や1km以下のサイズの地形の分類について明らかに進歩した。また、岩盤山地、丘陵、高地の長大斜面、中間的地形(台地、段丘、低地の長大斜面)、平野を識別するのに概ね適当であった。一方、クロス集計から、異なる地質構造区あるいは気候区の下では、局所地形が似ていることが必ずしも似たような形成課程や岩相を示すわけではないことが明らかになった。これは、地域ごとに凡例を定義しなおすことによって解決可能と考えられるが、堆積平野と侵食平野の双方が存在するような地域では注意が必要である。さらに、細い谷底平野や、都市部、平野の微高地は、DEMの精度の問題により識別できなかった。以上から、地質構造区と気象区を局所の地形分類に加味したグローバル・ローカル双方の知識がクラスタのよりよいグループ化に必要であり、また、さらなるパラメータの追加や高解像度なDEMが必要である。適切に分類された地形分類は、自然災害や土地開発の好発地・適地をよりよく知ることに役立つと考えられる。
日本語原稿執筆者:岩橋 純子(国土地理院 地理地殻活動研究センター)
(敬称略)