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Progress in Earth and Planetary Science

日本語Abstract

Research

Solid earth sciences

房総半島に分布する安房層群安野層の鮮新世複合年代層序と古海洋学的知見

羽田 裕貴,岡田 誠

Pliocene integrated chronostratigraphy from the Anno Formation, Awa Group, Boso Peninsula, central Japan, and its paleoceanographic implications

Haneda Y, Okada M

Awa Group, Anno Formation, Oxygen isotope stratigraphy, Magnetostratigraphy, Pliocene

安野層の古地磁気・酸素同位体比変動曲線と標準酸素同位体曲線LR04・標準地磁気極性年代GTS2012との対比

鮮新世は,大気中二酸化炭素濃度が約300〜450ppmで,全球平均気温は現在より2〜3°C高かったことから,温室効果ガスの影響を考慮した将来的な気候のアナログの一つであると考えられている.しかし,北西太平洋では炭酸塩補償深度が堆積水深より浅い場合が多いため,深海底堆積物中の炭酸塩微化石の保存が悪く,鮮新世の古海洋記録が限られている.そこで本研究では,北西太平洋における鮮新世の古海洋および古気候研究ための有用な情報を得るために,房総半島に分布する安房層群最上位層である安野層を対象とした古地磁気および底生有孔虫酸素同位体記録に基づいた鮮新統複合年代層序を構築した.

古地磁気分析の結果,安野層の古地磁気極性はNunivak正磁極亜帯(4.493 Ma〜4.631 Ma)からクロンC2An.2n(3.116 Ma〜3.207 Ma)に相当することが明らかになった.また,安野層中部からは有孔虫化石が産出しなかったが,有孔虫化石が産出した安野層下部と上部からは氷期−間氷期サイクルに相当する酸素同位体比変動が確認できた.その記録は,標準酸素同位体曲線(LR04)と比べて振幅が約2倍大きく,特に間氷期における値がより小さい.また,約3.4 Ma以降から標準酸素同位体曲線と同等の振幅となる変動を示した.このことは,少なくとも3.4 Maまでは,安野層の堆積場に間氷期の期間だけ暖かい底層水あるいは低塩分の底層水が流入していたことを示し,安野層堆積当時の深層水循環は現在の太平洋のそれとは異なっていたことが推定される.

日本語原稿執筆者:羽田 裕貴(茨城大学大学院 理工学研究科)
(敬称略)