※Progress in Earth and Planetary Science は,公益社団法人日本地球惑星科学連合(JpGU)が運営する英文電子ジャーナルで,JpGUに参加する50学協会と協力して出版しています.

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Progress in Earth and Planetary Science

日本語Abstract

Research

Interdisciplinary research

モルジブ堆積物から復元された低緯度域における陸域風化と乾燥化に関する過去200万年間の環境変化

Dick Kroon et al.Kunkelova T, Jung S.J.A, de Leau E.S, Odling N, Thomas A, Betzler C, Eberli G.P, Alvarez-Zarikian C, Alonso-García M, Bialik O.M, Blättler C.L, Guo J.A, Haffen S, Horozal S, Hui Mee A.L, 井上 麻夕里, Jovane L, Lanci L, Laya J.C, Lüdmann T, Nath B.N, 中國 正寿, 新野 薫, Petruny L.M, Pratiwi S.D, Reijmer J.J.G, Reolid J, Slagle A.L, Sloss C.R, Su X, Swart P.K, Wright J, Yao Z, Young J.R, Lindhorst S, Stainbank S, Ruggenberg A, Spezzaferri S, Carrasqueira I, Hu S, Kroon D

A two million year record of low latitude aridity linked to continental weathering from the Maldives

Kunkelova T, Jung S.J.A, de Leau E.S, Odling N, Thomas A, Betzler C, Eberli G.P, Alvarez-Zarikian C, Alonso-García M, Bialik O.M, Blättler C.L, Guo J.A, Haffen S, Horozal S, Hui Mee A.L, Inoue M, Jovane L, Lanci L, Laya J.C, Lüdmann T, Nath B.N, Nakakuni M, Niino K, Petruny L.M, Pratiwi S.D, Reijmer J.J.G, Reolid J, Slagle A.L, Sloss C.R, Su X, Swart P.K, Wright J, Yao Z, Young J.R, Lindhorst S, Stainbank S, Ruggenberg A, Spezzaferri S, Carrasqueira I, Hu S, Kroon D

Maldives, IODP Exp 359, non-destructive core scanning, composition of lithogenic fraction, orbital cycles, Indian-Asian history of aridity, Mid Pleistocene Transition

過去200万年間のモルジブ堆積物(U1467)のFe/K記録と底生有孔虫の酸素同位体比記録(LR04).Fe/Kデータは3点の移動平均で表している.1250-700 kyrがMPTに相当する.

インド・アジアモンスーンは地球の軌道要素の変動に伴い,間氷期には温暖/湿潤,氷期には寒冷/乾燥と変動する.しかしながら,数百万年という長い時間スケールでのインド・アジア大陸の低緯度域における乾燥湿潤のサイクルや,それを支配する要因についてはその復元記録がほとんどないためによく分かっていない.本研究では,国際深海科学掘削計画(IODP)の第359次航海で採取されたモルジブ堆積物を用いて,高時間分解能で陸源物質の本海域への流入の記録を連続的に復元し,低緯度域における乾燥化のサイクルを明らかにすることを目的とした.モルジブの堆積物に含まれる陸源物質の変動は,モンスーンの影響によって変化する堆積物の起源を示す.我々はU1467サイトから得られた過去200万年をカバーするコアについてXRF分析を行い,軌道要素に関連した環境変動について調べた.特に本研究ではFe/K比をインド・アジア大陸における乾燥湿潤を反映する気候の間接指標として用いた.測定の結果,Fe/K比は氷期には現在の冬季モンスーン時に相当する風成塵の寄与が強くなり,間氷期には現在の夏季モンスーン時に相当する河川からの堆積物供給の寄与が多くなるというサイクルを示した.また,Fe/KのサイクルをFe/K比の最大値(最小値)が歳差による日射量の最小値(最大値)に合うよう調整し,時系列解析も行った.その結果,1.25 Maの中期更新世気候遷移(MPT)以降,Fe/Kサイクルは10万年周期で変動しており,有孔虫の酸素同位体比記録から復元された全球的な氷床量変動(LR04)と同調していた.一方,MPT以前の期間(1.25 - 2 Ma)については,Fe/Kサイクルは10万年に近いものの13万年前後の周期を示しており,これは複数の軌道要素の影響が重複してインド・アジア気候に影響を与えていたためと考えられる.MPTにLR04とFe/K記録の両方に10万年周期が見られるようになったことは,低緯度域と高緯度域を結ぶ気候システムがこの時期に強化されたことを示唆している.

日本語原稿執筆者:井上麻夕里(岡山大学 大学院 自然科学研究科)
(敬称略)