※Progress in Earth and Planetary Science は,公益社団法人日本地球惑星科学連合(JpGU)が運営する英文電子ジャーナルで,JpGUに参加する50学協会と協力して出版しています.

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Progress in Earth and Planetary Science

日本語Abstract

Review

Space and planetary sciences

はやぶさ2到着以前の小惑星リュウグウ

和田 浩二 et al.和田 浩二, Matthias Grott, Patrick Michel, Kevin J. Walsh, Antonella M. Barucci, Jens Biele, Jürgen Blum, Carolyn M. Ernst, Jan Thimo Grundmann, Bastian Gundlach, Axel Hagermann, Maximilian Hamm, Martin Jutzi, Myung-Jin Kim, Ekkehard Kührt, Lucille Le Corre, Guy Libourel, Roy Lichtenheldt, Alessandro Maturilli, Scott R. Messenger, 道上 達広, 宮本 英昭, Stefano Mottola, Thomas Müller, 中村 昭子, Larry R. Nittler, 小川 和律, 岡田 達明, Ernesto Palomba, 坂谷 尚哉, Stefan E. Schröder, 千秋 博紀, Driss Takir, Michael E. Zolensky and International Regolith Science Group (IRSG) in Hayabusa2 project

Asteroid Ryugu before the Hayabusa2 encounter

Wada K, Grott M, Michel P, Walsh K, Barucci A, Biele J, Blum J, Ernst C, Grundmann J, Gundlach B, Hagermann A, Hamm M, Jutzi M, Kim M, Kührt E, Le Corre L, Libourel G, Lichtenheldt R, Maturilli A, Messenger S, Michikami T, Miyamoto H, Mottola S, Müller T, Nakamura A, Nittler L, Ogawa K, Okada T, Palomba E, Sakatani N, Schröder S, Senshu H, Takir D, Zolensky M and International Regolith Science Group (IRSG) in Hayabusa2 project

Hayabusa2, Ryugu, Asteroids, Regolith, Physical properties

レゴリス層の代表的粒径と空隙率の関数として表示した熱慣性(単位:J m−2 s−1/2 K−1)の等高線マップ(計算上仮定したパラメータセットについては本文参照)。灰色の領域は、地上観測(Müller et al. 2017)から推定されたリュウグウの熱慣性の範囲を示す。この図からリュウグウのレゴリス層の代表的粒径を推定することが可能となる。

小惑星162173「リュウグウ」は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)主導の小惑星サンプルリターンミッション「はやぶさ2」の探査対象天体である。はやぶさ2による探査以前の地上観測からは、リュウグウについては直径1km以下の地球近傍C型小惑星であるということのほかは、極めて限られた情報しか得られていなかった。本論文は,はやぶさ2探査以前における地上観測や理論モデルに基づいて、リュウグウの最も確からしい物理的・力学的性質について,とくに試料採取にあたって重要となるリュウグウ表層の特徴を中心にまとめたものである。この情報は、はやぶさ2到着以前のリュウグウについての基準モデルをなすものであり、本論文では、自転軸やスペクトル情報などの全球的性質、熱慣性などの表層熱物理的性質、空隙率や強度などの表層力学的性質、にわけてそれぞれ観測値・導出値・予測値を記述している。この基準モデルは探査運用計画の策定に役立つほか、はやぶさ2で得られるデータをより適切に解釈しリュウグウをはじめとした小天体についての科学的研究を促進し、小天体から探る太陽系進化の理解に貢献するものである。 なお、はやぶさ2の探査によって本論文の価値が失われるものではない。本論文は、C型小惑星一般について現状の理解を整理したものとも言える。結果的に、はやぶさ2の成果をより鮮明にすることのほか、将来の小天体探査を計画するにあたっておおいに参考となるであろう。

日本語原稿執筆者:和田 浩二(千葉工業大学 惑星探査研究センター)
(敬称略)