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Progress in Earth and Planetary Science

日本語Abstract

Review

Space and planetary sciences

201804201804

赤道及び低緯度における真夜中過ぎ電離圏擾乱の発生機構に関するレビュー

大塚 雄一

Review of the generation mechanisms of post-midnight irregularities in the equatorial and low-latitude ionosphere

Otsuka Y

Equatorial ionosphere, Ionospheric irregularity, Rayleigh–Taylor instability, Plasma bubble

インドネシアに設置されたVHFレーダーで、2007年8月21日晩に観測されたF領域沿磁力線不規則構造(FAI)エコーのレンジ・時間断面図 (Otsuka et al. 2009 より)。

地球の磁場が水平になる赤道域では、赤道電離圏特有の不安定現象が起こる。その一つとして、局所的に電離圏プラズマが著しく減少するプラズマバブルと呼ばれる現象があげられる。プラズマバブルの内部にはプラズマの粗密構造ができるため、プラズマバブル内を通る電波は影響を受ける。例えば、GPSを使った衛星測位には位置誤差をもたらし、衛星通信・放送に対して受信障害を引き起こす。このため、これまで観測的、理論的に多くの研究がなされ、プラズマバブルは日没線が地球の磁力線と平行になる季節(地球磁場の偏角が小さいアジア域では、春と秋)の日没直後に頻繁に発生することが明らかにされている。また、プラズマバブルの発生は、太陽活動にも依存しており、太陽活動が活発な時ほど発生頻度が高いことも知られている。しかし、近年のインドネシアや、インド、ブラジルでのレーダー観測や、電離圏を飛翔する人工衛星によって、従来から知られていたプラズマバブルの発生時期とは異なり、太陽活動極小期において、北半球の夏季の真夜中過ぎに、プラズマバブルに起因すると考えられる電離圏擾乱が頻繁に観測されることが明らかになった。プラズマバブルが発生するためには、(1)電離圏の状態が不安定を成長させる状態にあること、(2)不安定が成長するための”タネ”になる初期変動が存在すること、が必要である。(1)については、真夜中に熱圏温度が上昇する現象に伴う極向きの熱圏風が電離圏プラズマを高高度に持ち上げることにより、電離圏が不安定な状態になることが有力視されている。(2)に関しては、熱帯の活発な対流活動により生じた大気波動が上方伝搬し、電離圏プラズマの変動を作ると考えられている。本論文では、真夜中過ぎに出現する電離圏擾乱に関する観測的研究を中心にレビューし、プラズマバブルが真夜中過ぎに発生する機構について議論する。

日本語原稿執筆者:大塚 雄一(名古屋大学 宇宙地球環境研究所)
(敬称略)