※Progress in Earth and Planetary Science は,公益社団法人日本地球惑星科学連合(JpGU)が運営する英文電子ジャーナルで,JpGUに参加する51学協会と協力して出版しています.

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Progress in Earth and Planetary Science

日本語Abstract

Research

Solid earth sciences

海域地下構造情報統合データベースの開発

山岸 保子,仲西 理子,三浦 誠一,小平 秀一,阪口 秀

Development of a database and visualization system integrating various models of seismic velocity structure and subducting plate geometry around Japan

Yamagishi Y, Nakanishi A, Miura S, Kodaira S, Sakaguchi H

Seismic velocity structure, Subducting plate, Database, Visualization, Google Earth, KML

開発したデータベースのwebGUI

将来日本近海の沈み込み帯で生じる地震の規模、また、結果として引き起こされる津波とその被害を予測するためには、沈み込むプレートの形状ならびに日本周辺海域下の地震波速度構造を正確に知る必要がある。すでに日本周辺のプレート形状と地震波速度構造について様々なモデルが提唱されている。しかし、これらのモデルは、それぞれ製作者が独自に管理しており、多くの場合、各モデルが対象とする領域やデータのフォーマットが異なる。各モデルを比較・検討するためには、第一にどこにどのようなモデルが存在するのかを知る必要がある。そのため、現存する日本周辺のプレート形状ならびに地震波速度構造モデルを収集し、データベース化を行った。本データベースには、三次元地震トモグラフィーモデルと、海域地震探査から得られた二次元地震波速度構造モデル、二次元プレート形状モデル、および三次元プレート形状モデル、さらに海域観測によって得られた震源分布や気象庁が提供する震源情報が格納されている。本データベースでは、データが必要な領域を設定することにより、種類の異なるモデルを同時に検索し、また複数のモデルのデータを同時に提供することが可能である。提供するデータの形式として、製作者が提供した未加工データ、テキストファイル形式の250m間隔のグリッドデータ、さらにKML(Keyhole Markup Language)の三種類が用意され、これらを複数同時に取得することが可能である。KMLとはGoogle Earthに地理情報を表示するための形式であり、得られたKMLデータを利用すれば、種類の異なる複数のモデルならびに震源分布を同時に簡単に可視化することが出来る。また本データベースはwebGUIを提供しており、本GUIにて、格納されている全てのモデルの対象とする領域が地図上に一覧表示される。さらに、等間隔グリッドデータを利用することで、データの事前準備を必要としない解析や可視化が可能である。開発したデータベースを利用することにより、将来の巨大地震による地震動および津波を予測するに足る精密な地震波速度構造ならびにプレート形状のモデル化が促進されると期待する。

日本語原稿執筆者:山岸 保子(海洋研究開発機構 数理科学・先端技術研究分野)
(敬称略)