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Progress in Earth and Planetary Science

日本語Abstract

Research

Solid earth sciences

高密度反射法音波探査により明らかとなった琉球海溝前弧斜面上部でみられる活動的な変形構造

荒井 晃作,井上 卓彦,佐藤 智之

High-density surveys conducted to reveal active deformations of the upper forearc slope along the Ryukyu Trench, western Pacific, Japan

Arai K, Inoue T, Sato T

Normal fault, Active deformation, Ryukyu Trench, Subduction, High-resolution seismic profile

海溝軸方向と平行な方向の引張応力場に関する模式図.琉球弧と平行な引張応力に関しては,Kubo and Fukuyama (2003, Earth Planet. Sci. Lett., 210, 305–316)を参照.背弧海盆と上部前弧斜面下の成層した堆積物の形成時期は,ほぼ同時代と考えられる.

中琉球弧沖縄島周辺における活動的な変形構造を明らかにするため,2次元グリッド状の高密度測線による高分解能マルチチャンネル反射法音波探査を行った.中琉球弧の前弧斜面は,典型的な前弧海盆を欠き,プレート収束方向(海溝軸方向)に向かって南東方向に一方的に傾く,比較的急な前弧傾斜で特徴付けられる.前弧斜面上部において,北西-南東方向に2マイル間隔と,それに直交する北東-南西方向に4マイル間隔で設定したグリッドに沿って行った反射法音波探査データには,フィリピン海プレートの沈み込みによる圧縮応力に伴うような活動的な変形構造は認められず,むしろ琉球海溝に直交する方向に,活動的な正断層が連続的に発達していることが分かった.この結果は,琉球弧上盤側プレートにおける活動的な変形構造は,琉球弧と平行する引張応力によって支配されていると考えられる.また,正断層に伴うハーフグラーベンは明瞭に成層する堆積物により埋められており,グラーベン内の層厚変化から,正断層の運動が形成された時期は2回存在していたと考えられる.その時期は,背弧海盆である沖縄トラフ側の斜面を形成する断層運動があった時期と一致している.よって,中琉球弧と平行な方向に発達する引張応力は,琉球弧そのものが南東方向に移動することによるものであると考えられる.

日本語原稿執筆者:荒井 晃作(産業技術総合研究所 地質情報研究部門)
(敬称略)