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Progress in Earth and Planetary Science

日本語Abstract

Research

Interdisciplinary research

沖合船舶の航行データから津波の水平流速を測ることについて

稲津 大祐,池谷 毅,早稲田 卓爾,日比谷 紀之,鴫原 良典

Measuring offshore tsunami currents using ship navigation records

Inazu D, Ikeya T, Waseda T, Hibiya T, Shigihara Y

Tsunami current, Automatic identification system (AIS), Navigating ship

(a) 東北地方太平洋沖地震津波の発生24分後に,震源近傍海域においてAISデータで認識された船舶の分布.(b) AISデータから算出された船首方位に直行する方向の移動速度成分(緑線)とシミュレーションによる津波流速成分(赤線).

我々は2011年の東北地方太平洋沖地震の震源海域において航行していた船舶のAIS(Automatic Identification System)データを精査した.まず,地震・津波発生後約40分間までにおいて,沖合の16隻の船舶のAISデータを収集した.このうちほとんどの船舶のAISデータについて,船首方位に対し対地進路が大きくずれていた.各航行船舶に対し,船首方位と対地進路との差および対地速度から,船首方位に直行する方向の移動速度成分を見積もったところ,この方向の成分について,AISデータに基づく船舶の移動速度と,シミュレーションに基づく津波流速とは,振幅・位相ともによく一致していた.波抗力と慣性力を考慮する浮体の運動方程式を用いて考察すると,船舶の移動速度は津波流に対し迅速に応答する,または,両者の相対速度が短時間で0に漸近することは,もっともらしいと考えられる.このことから,沖合の航行船舶の移動速度について,船首方位に直行する方向の成分は,その方向に対してだが,津波流速計として機能すると期待できる.さらに,これらのAISデータを使って津波波源の推定や津波の即時予測の実験を行った.その結果から,当時のAISデータは,2011年東北津波の波源推定・即時予測に役立てることができたのではないか,と我々は評価している.今後,AISデータは現行の枠組みのままで,任意の多点(クラウドソース)観測データとして,沖合の津波流の計測および津波予測に役立つと期待される.

日本語原稿執筆者:稲津 大祐(東京海洋大学 学術研究院 海洋資源エネルギー学部門)
(敬称略)