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Progress in Earth and Planetary Science

日本語Abstract

Research

Space and planetary sciences

赤道域電離層伝搬波(MSTIDs) によるプラズマバブルの成因に関して

Takahashi H,Wrasse C M,Figueiredo CAOB,Barros D,Abdu M A,大塚雄一,塩川和夫

Equatorial plasma bubble seeding by MSTIDs in the ionosphere

Takahashi H,Wrasse C M,Figueiredo CAOB,Barros D,Abdu M A,Otsuka Y, Shiokawa K

Equatorial plasma bubbles,MSTID,Gravity waves

南米大陸上空の電離層全電子数 (TEC)マップ で観測されたプラズマバブル (2015年3月9日01:40UT),黒の曲線は地磁気赤道.

赤道域上空300Km付近の電離大気は中高緯度の電離大気とは異なった様相を呈する.すなわち,昼側の地磁気赤道を挟んで形成される電離層赤道異常帯(Equatorial Ionization Anomaly), 夕方から夜間にかけて発生するプラズマバブルと呼ばれるプラズマホール,また電波伝搬に影響を及ぼすシンチレーション現象等である.これらの現象は我々の日常生活で利用されている宇宙科学技術に対して大きな影響を及ぼすことが知られている.したがってこれらの現象を観測しその原因を探り,発生を予測することが大切になってくる.例えばプラズマバブルの生因については,現在までに数多くの研究者により議論され,いくつかのメカニズムが提唱されているが,未だ結論に達していない.今回の研究はプラズマバブルとそれとは別に電離層内を伝搬する波を2次元的に観測することにより両者の相関を検証することを目的としている.

測定対象は,GPS衛星の地上観測から求めた電離層の全電子数(TEC)を使った電離層の2次元マップおよび全電子数の時間空間変動分から求められる波動構造マップである.この両者をほぼ同時に観測することにより両者の相関が解析された. 今回の観測では波動構造の水平波長といくつかのプラズマバブルの経度方向での間隔に,1:1の関係があることが確認された.このことはプラズマバブルの発生に電離層内を伝搬する波動が関わっていることを示唆している.そのメカニズムについては今後のシミュレーションモデルを通して検証されることが望まれる.

日本語原稿執筆者:髙橋久夫(National Institute for Space Research, Brazil)
(敬称略)