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Progress in Earth and Planetary Science

日本語Abstract

Research

Space and planetary sciences

201803201803

6月の磁気赤道域における赤道スプレッドFの複数装置による観測:大規模波状構造とスプレッドF

Rodrigues F S, Hickey D, Zhan W, Martinis C, Fejer B G, Milla M A, Arratia J F

Multi-instrumented observations of the equatorial F-region during June solstice: large scale wave structures and spread-F

Rodrigues F S, Hickey D, Zhan W, Martinis C, Fejer B G, Milla M A, Arratia J F

Equatorial Spread F, equatorial F region, radar, AMISR, airglow, June, solstice, large scale wave structure

2016年8月3〜4日に観測されたAMISRレーダーエコーのRTI(Range-Time-Intensity)図(上段)と、レーダーエコー発生前から発生直後にかけて観測された大気光発光強度(レイリー)の全天画像(下段)。レーダーエコーRTI図中の緑の縦線は大気光全天画像が観測された時刻を示す。大気光全天画像中の赤線は、Jicamarcaの緯度(南緯12º、図中の黒線)に沿った大気光発光強度の変動を示す。

赤道スプレッドF(ESF)現象は多くの経度において春分・秋分前後の日没後に発生すると言われている。しかし、近年の研究では、これまでESFの原因となる電離圏不規則構造を引き起こす電離圏プラズマ不安定が発生しにくいと考えられてきた6月の夜間に、電離圏不規則構造が多く発生していることが明らかになってきている。本研究では、南北アメリカ大陸の経度帯における6月のESF発生状況を明らかにし、その発生に至る条件をよりよく理解するために、複数の観測機器を用いて行った観測結果について報告する。まず、Jicamarca電波観測所(南緯11.95º、西経76.87º、磁気緯度約1º)に設置された、Advanced Modular Incoherent Scatter Radarの14パネル版(日本語訳者注:AMISR-14、AMISRはパネル1枚を単位として複数組み合わせることができる)を用いた6月夜間のESFの初めての観測結果を紹介する。観測は2016年7月11日から8月4日まで行われた。この期間の太陽活動は低かった。AMISR-14による観測に加え、2周波GPS受信機、大気光イメージャ、及びイオノゾンデ観測を行った。観測期間中、レーダーエコーは真夜中前及び後にいずれにおいても発生が見られた。少なくとも観測されたESFのうち一部は地磁気嵐に伴う電場によって引き起こされた可能性があるが、いくつかのESFイベントについては地磁気静穏時に発生していた。地方時22時以降の遅い時間に発生したもののうち、空が晴天であった3例については、同地における630.0nmの大気光観測により、ESF発生前の電離圏F領域下部の状態を観測することができた。大気光観測では、3例全てにおいてレーダーエコー発生に先立って電離圏F領域下部における大気光の変動が見られた。大気光変動は、レーダーエコー発生の約1時間前に現れ始め、次第に変動幅を増していった。変動の発生場所はAMISRによって観測されたレーダーエコーの場所、GPSによって観測された全電子数(Total Electron Content: TEC)の変動が観測された場所と一致していた。この変動では、他の観測機器(非干渉散乱レーダー、衛星ビーコン観測、イオノゾンデなど)で観測されESFの前兆現象ではないかとも言われている大規模波状構造(Large-Scale Wave Structure: LSWS)と共通するものが見られた。この電離圏F領域株の変動は、300〜500 kmの間隔を持ち、磁気子午面に沿って緯度数度以上にわたって伸びていた。この変動は、ESF発生過程における初期変動であると考えられる。

日本語原稿執筆者:齋藤 享(国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所 電子航法研究所)
(敬称略)