※Progress in Earth and Planetary Science は,公益社団法人日本地球惑星科学連合(JpGU)が運営する英文電子ジャーナルで,JpGUに参加する50学協会と協力して出版しています.

>>日本地球惑星科学連合

>>参加50学協会へのリンク

  • Progress in Earth and Planetary Science
  • Progress in Earth and Planetary Science
  • Progress in Earth and Planetary Science
  • Progress in Earth and Planetary Science
  • Progress in Earth and Planetary Science
Progress in Earth and Planetary Science

日本語Abstract

Research

Solid earth sciences

201802201802

新しい粒度傾向分析法を用いた現世潮汐干潟における堆積物運搬経路の復元

山下翔大,成瀬 元,中条武司

Reconstruction of sediment-transport pathways on a modern microtidal coast by a new grain-size trend analysis method

Yamashita S, Naruse H, Nakajo T

GSTA, Microtidal, Sediment grain size, Sediment transport, Tidal flat

本研究で提案されたP-GSTA法によって計算された粒度傾向ベクトル.実際の堆積物運搬方向はトレーサー粒子の平均移動方向から推定されている.円は試料採取地点を表す.

本研究は,粒度分析の結果から堆積物の運搬経路を復元する新しい手法(P-GSTA法)を提案する.この手法は,河川・潮汐・波浪など複数の運搬プロセスが働いている堆積環境にも適用可能という点で,従来の方法よりも優れている.P-GSTA法は,粒度分布を表現する6つの特性値(中央粒径,変異係数,歪度,尖度,含泥率,含礫率)に対して主成分分析を行い,堆積物の運搬経路を表す主成分スコアの勾配から堆積物運搬方向を推定する.従来の粒度傾向分析(GSTA)法では,わずか3つの粒度特性値(平均粒径・淘汰度・歪度)が考慮されるだけであり,それらの重みづけも行われていなかった.本研究で提案する手法では,主成分分析により,6つの粒度特性値に対して自動的に重み係数が決定される.また,パラメーターの空間補間にはKriging法が用いられる.本研究で提案したP-GSTA法を現世の海岸(櫛田川デルタ河口部の砂質潮汐低地)に適用したところ,復元された堆積物移動経路は,トレーサー堆積物および地形観察から求められた実際の堆積物移動パターンとよく一致した.一方,既存のGSTA法による復元結果は観測と一致しなかった.また,本研究で提案した手法は,河川流路の遷移過程や泥質粒子の堆積作用に関しても新たな知見を与えた.これらのことは,新たに提案したP-GSTA法が堆積物輸送パターンを復元する強力なツールであることを示唆している.

日本語原稿執筆者:成瀬 元(京都大学 大学院 理学研究科)
(敬称略)