※Progress in Earth and Planetary Science は,公益社団法人日本地球惑星科学連合(JpGU)が運営する英文電子ジャーナルで,JpGUに参加する50学協会と協力して出版しています.

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Progress in Earth and Planetary Science

日本語Abstract

Research

Solid earth sciences

201801201801

地球内部の物質移動:高温高圧下における酸化条件下でのアルミノケイ酸塩-C-O-H-N系のフルイド-メルト相互作用

Mysen B

Mass transfer in the Earth’s interior: fluid-melt interaction in aluminosilicate–C–O–H–N systems at high pressure and temperature under oxidizing conditions

Mysen B

Volatiles, spectroscopy, melt structure, fluid structure, temperature, pressure

フルイド/メルト間のH2O,CO32-,N2の分配係数(Kf/m)の温度依存性.

揮発性成分であるC-O-H-Nを含む系において,フルイド及びメルト中での化学種がどの様なパラメータに支配されているのかを理解することは,地球内部の物質移動プロセスにおける揮発性成分の影響を知る上で重要である.そこで,C-O-H-Nを含むアルミノケイ酸塩系で,約700MPaにおいて800℃までの条件下でラマン及び赤外分光法により測定を行った.高温高圧の発生には外熱式ダイヤモンドアンビルセルを用いた.一般に,フルイドやメルトの構造や化学組成は,室温室圧への急冷時に変化することが多い.そのため,高温高圧状態でのその場分析を行った.炭素と窒素は様々な価数をとる可能性があるので,還元剤は用いずにH2O,CO2,N2として揮発性成分を系に加えた. 実験により,メルト中に溶存する化学種はH2O,CO32-,HCO3-,N2であること,そしてフルイド中に溶存する化学種はH2O,CO2,CO32-,N2であることが明らかになった.メルト中のHCO3-/CO32-間の平衡は温度上昇にともないCO32-側へとシフトし,このときの活性化エネルギーはΔH=114±22 kJ/molである.フルイド中のCO2種の存在度は温度圧力の変化に影響されず,ほぼ一定である.H2OとN2のフルイド/メルト間の分配係数はどちらも1以上であり,活性化エネルギーΔHはそれぞれ-6.5±1.5と-19.6±3.7 kJ/molである.一方,炭酸塩グループであるCO32-は,フルイドよりもメルト中により多く分配される. 地球内部において酸化還元条件がQFMバッファーよりもやや高い(NNOとMWの間程度)場合,フルイド及びメルト中の安定な窒素化学種はN2であり,そのN2は両相に対し希釈剤として働く.つまりN2が溶存する場合,フルイド中へのケイ酸塩成分の溶解度は低下し,同時にフルイド中のアルカリ成分の濃度は高くなると思われる.その様な状況下においては,N2が溶存しない場合と比較して,HFS元素がフルイドによって移動しやすくなることが予想される.N2が溶存することによりフルイドの構造は大きく変化するが,メルトの構造はほとんど変化しない.

日本語原稿執筆者:三部 賢治(東京大学 地震研究所 物質科学系研究部門)
(敬称略)