※Progress in Earth and Planetary Science は,公益社団法人日本地球惑星科学連合(JpGU)が運営する英文電子ジャーナルで,JpGUに参加する50学協会と協力して出版しています.

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Progress in Earth and Planetary Science

日本語Abstract

Review

Interdisciplinary research

201712201712

北ユーラシア未来イニシアティブ(NEFI):21世紀における全球変化に向けた挑戦と道筋

Pavel Groisman et al.

Northern Eurasia Future Initiative (NEFI): facing the challenges and pathways of global change in the twenty-first century

Pavel Groisman et al.

Environmental Changes, Northern Eurasia, Ecosystems dynamics, Terrestrial water cycle, Cryosphere retreat, Extreme and inclement environmental conditions, Sustainable development, Land-cover and land-use change, Integrated assessment models for decision-makers

旧ソビエト連邦(ロシア・ウクライナ・カザフスタン)における1990年から2013年までの農耕地の変化。この間の耕作放棄地は、ロシアで40メガヘクタール、ウクライナで5.4メガヘクタール、カザフスタンで13メガヘクタールである。

過去数十年間、地球システムは大きく変化し、それは特に北ユーラシアで顕著であった。北ユーラシアの大国の社会経済変化もこの地域に多様な環境変化をもたらし、全球の環境変化に結びついた。北ユーラシア未来イニシアティブ(NEFI)は、北ユーラシア地球科学連携イニシアティブ(NEESPI)の後継として計画され、2004年に発足した。NEESPIは進行中の環境変化を明らかにしようと計画され、その結果を社会に知らせ、将来の社会の発展に役立てることを目的とした。NEFIは、環境や社会組織の変化に直面しながらも、地域的な政策決定者が科学的知見を用いて社会の発展に導けるよう手助けすることを主眼に活動している。NEESPIの研究成果、データ、モデルといった知的基盤は、NEFIの活動を支えるものである。本論文は、それらの知的財産に基づいたNEFIの研究のビジョンを示すものである。そして北ユーラシアを対象とした最近の研究事例を示し、NEFIの新たな科学的目標を定めるものである。これらの科学的目標を設定するために、研究の焦点を9つ提示し、それらを選択した経緯を解説する。9つの研究の焦点とは、北極の温暖化、極端事象の頻度・分布・強度の変化、雪氷の減少、陸域水循環の変化、生物圏の変化、土地利用の圧力、インフラの変化、環境変化に対する社会の応答、そして、全球地球システムにおける北ユーラシアの役割の定量評価、である。北ユーラシアにおける地球システムと人間システムとの強力なフィードバックループによって生じた環境変化(例えば、大規模な原野火災、干ばつ、水資源としての雪氷圏の衰退、海氷の減少)は、過去から現在に至る人間活動(例えば、大規模な水利用、土地利用や統治機構の変化)の結果であり、将来の新たな人間活動の可能性を制限し、あるいは与えるものとなる。したがって我々は、全球地球システム変化を定量評価するための統合評価モデルの必要性を強調する。NEFIによるモデリングは、北ユーラシアの環境変化に対する社会経済的な行動を決定する際に利用され、緩和と適応の努力の証拠を示すことを可能とする。

日本語原稿執筆者:檜山 哲哉(名古屋大学 宇宙地球環境研究所)
(敬称略)