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Progress in Earth and Planetary Science

日本語Abstract

Research

Solid earth sciences

Session convener-recommended article JpGU Meeting 2016

201710201710

広帯域地震波形を用いた関東地域下における地殻・上部マントル構造のアジョイントトモグラフィー

三好 崇之,大林 政行,Peter D,東野 陽子,坪井 誠司

Adjoint tomography of the crust and upper mantle structure beneath the Kanto region using broadband seismograms

Miyoshi T, Obayashi M, Peter D, Tono Y and Tsuboi S

Seismic wave speed model, Adjoint tomography, Waveform inversion, Broadband seismogram, Kanto region

深さ5kmにおけるS波速度に関する断面図.左から初期モデル(m00),最終モデル(m16),それらの偏差である.四角は使用した観測点,赤三角は火山を示す.活断層を黒線,中央構造線を破線で示す.

アジョイントトモグラフィーを用いて地震観測波形を再現する,関東地域の三次元地震波速度構造モデルを構築した.初動走時トモグラフィーの研究結果を初期モデルとし,関東地域で発生した140個の地震を対象に広帯域地震観測点で得られた地震波形を用いて,インバージョンによってP波速度(VP)とS波速度(VS)を推定した.構造インバージョンの実施前には,震源のセントロイド時刻を決定した.理論変位波形は,1600万節点によって関東地域のメッシュ構造を構築し,スペクトル要素法(SEM)を用いて計算した.モデルパラメータVPVSは,ミスフィットカーネルとへシアンカーネルを用いたニュートン法によって観測波形と理論波形の差が十分小さくなるまで繰り返し更新した.フォワードとアジョイントシミュレーションは,理化学研究所の京コンピュータで行った.最適化したSEM計算コードでは,16回の反復による最終モデルを得るまでに,6,720回のシミュレーションを要し,それには約62,000ノード時間を用いた.本研究で提案したモデルでは,初期モデルに比べて顕著に遅いS波速度異常域が複数の領域で検出された.これらの速度異常域は良いデータカバレッジと分解能を有しており,地質学的特徴,地震発生領域,火山地域と良く対応している.新モデルを用いた任意の地震に対する理論波形は,5〜30秒から選んだ複数帯域のそれぞれで初期モデルよりも観測波形とよく一致する.この結果は新モデルが実際の観測波形をより正しく説明できることを示すものである.

日本語原稿執筆者:三好崇之(国立研究開発法人防災科学技術研究所)
(敬称略)