※Progress in Earth and Planetary Science は,公益社団法人日本地球惑星科学連合(JpGU)が運営する英文電子ジャーナルで,JpGUに参加する50学協会と協力して出版しています.

※Progress in Earth and Planetary Science は,独立行政法人日本学術振興会(JSPS)より科学研究費助成事業(科学研究費補助金: 254001)のサポートを受けています.

>>日本地球惑星科学連合

>>参加50学協会へのリンク

  • Progress in Earth and Planetary Science
  • Progress in Earth and Planetary Science
  • Progress in Earth and Planetary Science
  • Progress in Earth and Planetary Science
  • Progress in Earth and Planetary Science
Progress in Earth and Planetary Science

日本語Abstract

Research

Atmospheric and hydrospheric sciences

Session convener-recommended article JpGU Meeting 2014

201709201709

フィリピンの夏季モンスーンオンセットの長期変動に対する台風の影響

久保田 尚之,城岡 隆一,松本 淳,Cayanan E O,Hilario F D

Tropical cyclone influence on the long-term variability of Philippine summer monsoon onset

Kubota H, Shirooka R, Matsumoto J, Cayanan E O, Hilario F D

Summer monsoon onset, Tropical cyclone, Long-term variability, Interdecadal variability, PALAU, Philippines

1903年‐2013年のフィリピンの夏季モンスーンオンセット日.太線は11年移動平均

フィリピンで夏季に雨量が多くなるモンスーンが開始する時期(オンセット)を1903年―2013年の期間について降水量データを復元し,その長期変動を調べた.夏季モンスーンオンセットはフィリピン北西部の8地点の日降水量を用いて定義した.夏季モンスーンは,5月―6月に開始するが,1990年代半ばから現在は早くオンセットする傾向がある.夏季モンスーンが早くオンセットする傾向は,1900年代,1920年代,1930年代にも見られ,数十年周期の変動が見られた.降水量データとは独立した南シナ海での船舶の海上風データからも夏季モンスーン開始後に見られる西風が,降水量データで見られた1900年代,1920年代,1930年代,1990年代半ばから現在の早期モンスーンオンセット期間の5月にも見られ,共通した特徴が裏付けられた.フィリピンで夏季モンスーンがオンセットする大気場の特長を明らかにするため,高層気象の強化観測を2013年に実施した.その結果,2013年台風3号(Yagi)がフィリピン海で発生し北上したため,フィリピン南西部では湿った下層南西風が強化されてモンスーンがオンセットし,フィリピン北西部ではモンスーンオンセット後下層南風が強化されたことが確認された.フィリピンのモンスーンオンセット時の台風の影響を調べるため,モンスーンオンセット時にフィリピン海及び南シナ海に台風が存在する年を抽出した.11年間でモンスーンオンセット時に台風が発生した回数を平均し,台風が存在する割合を求めた.1951年以降でフィリピンのモンスーンオンセット時に台風が存在する割合と,モンスーンオンセット日との間で有意な相関が見られた.これは1990年代半ばから見られた早期モンスーンオンセットは,フィリピン海や南シナ海で活発な台風活動が影響したと考えられる.一方で,モンスーンオンセットが遅い期間は台風活動が弱く,オンセットに対する台風の影響が小さかったことが考えられる.以上より,フィリピン海や南シナ海での台風活動は,フィリピンのモンスーンオンセットの時期に重要な役割を果たしていると考えられる.

日本語原稿執筆者:久保田 尚之(北海道大学 大学院理学研究院 地球惑星科学部門)
(敬称略)