※Progress in Earth and Planetary Science は,公益社団法人日本地球惑星科学連合(JpGU)が運営する英文電子ジャーナルで,JpGUに参加する50学協会と協力して出版しています.

※Progress in Earth and Planetary Science は,独立行政法人日本学術振興会(JSPS)より科学研究費助成事業(科学研究費補助金)のサポートを受けています.

>>日本地球惑星科学連合

>>参加50学協会へのリンク

  • Progress in Earth and Planetary Science
  • Progress in Earth and Planetary Science
  • Progress in Earth and Planetary Science
  • Progress in Earth and Planetary Science
  • Progress in Earth and Planetary Science
Progress in Earth and Planetary Science

日本語Abstract

Review

Space and planetary sciences

201709201709

火星のコアの構造―簡潔なレビューと InSight に期待される新たな知見―

Helffrich G

Mars core structure — concise review and anticipated insights from InSight

Helffrich G

Mars, InSight, Dynamo, Core, Fe-FeS phase relations, Stratification

地球と火星の大きさおよび内部構造の比較。火星はちょうど地球の半分程度の大きさであるが地殻が薄く(Rivoldini et al., 2011)、おそらく内核が存在しないと考えられている。

本論では、現在の火星の内部構造、組成に関する知見とその組成から予想される地震学的性質についてレビューする。特にここでは、火星の核について注目する。その理由は、硫黄に富む硫化鉄の相図中の液相線(リキダス)の中間圧力(数 10 GPA)における特異な性質に起因する。過去の実験結果から得られた詳細な相図から、火星の核内部では,二つの異なる現象が起こりうると考えられる。ひとつは、核上部の核-マントル境界から晶出した鉄が雪のように沈殿する iron “snow” と呼ばれる現象であり、もうひとつは、核の底から立ち上る Fe3-xS2 の霧 “ground fog” である。これらの現象は、温度と硫黄の含有量に応じて、内核もしくは外核、あるいは両方に、硫黄に富む層を形成する。核内の層構造はなぜ火星の磁場が惑星の歴史の初期に消失したかを説明できると考えられ、ここではその方法について議論する。核内の結晶化過程は将来の火星地物探査ミッションである InSight が取得する地震データで観測できる可能性がある。そのためには核の大きさ、内核の有無、組成の変化の指標となる外核内の放射方向の地震波速度構造が鍵となる観測量である。

日本語原稿執筆者:川村 太一(国立天文台)
(敬称略)