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Progress in Earth and Planetary Science

日本語Abstract

Methodology

Human geosciences

201709201709

遠隔操作船を用いた音響水底調査システム

山崎 新太郎,田房 友典,岩崎 俊佑,平松 雅宏

Acoustic water bottom investigation with a remotely operated watercraft survey system

Yamasaki S, Tabusa T, Iwasaki S, Hiramatsu M

Aquatic investigation, Echo sounding, Bathymetry, Fish finder, Remote operation, Unmanned watercraft

図1 作成した遠隔操作船調査システムのコンセプト.このシステムは電気モーター(青),ソナー(赤),GNSS 信号受信機および船首センサー(緑),無線送受信システム(黒)からなる.

図2 作成した 0.2m 間隔の等深線図と音響底質分析の結果.(A)は E1 値(粗さ),(B)は E2 値(硬さ),(C)は Peak SV 値(硬さ)の分布を示す.各値は直径 6m に相当する大きさのグラデーションの円の連なりで表現されている(用いた 200kHz 音源のトランスデューサでは,図中の概ねの水深,30m において走査範囲が直径 6m となるため).この図は平面直角座標第9系に投影しており両軸の単位はメートルである.

近年のレジャー用ソナー(魚群探知機)では,衛星測位情報と同期した音響イメージや深度を得ることが可能であり,高周波の音源を利用して水底の物体の形状をより詳細にイメージングする技術やサイドスキャンソナーを備えるものがある.いくつかの検証不十分な点があるものの,その安価・小型・軽量の特徴のために利用価値は大きい.さらに,取得されたレジャー用ソナーのデータから水底の数値地形データの抽出や底質の簡易な分析を可能にしたソフトウェアも存在する.

筆者らは,以上のソナーを搭載した無人遠隔操作調査船システムを作成した.この作成のコンセプトは,水上での直進性と安定性に優れる双胴船型の無人船体に,以下の三つのシステムの組み合わせることによって遠隔調査を実現するものであり,全て低価格の市販品により構築された.一つはリモコン制御の電気モーター,二つ目は衛星測位情報の受信機と船首方向を示すセンサー,三つ目は電気モーターの制御信号の送受信距離を拡大し,調査者まで無人船の位置情報および船首方向の情報を伝送する通信システムである.この通信システムは PC およびプログラムを組み込んだマイコンと通信デバイスにより構築されている.以上により,調査者は離れた場所で無人船の現在位置と航跡をモニタリングしながら,その船首方向や走査速度を決定し,対象水域を網羅するように調査できる.

本論文では,筆者らがこのシステムを用いて,水深約 30m の湖底に地すべり起源の水没林が存在するとされる神奈川県芦ノ湖北部の水域を調査した例を示す.高解像音響イメージとサイドスキャンイメージにより水没林が詳細に観察され,周辺の水底地形図が作成された.加えて,底質の粗さを示すとされる E1 値,および底質の硬さを示すとされる E2 値と Peak SV 値が音響データから抽出され表層地質の分析が有効に行われた.

日本語原稿執筆者:山崎 新太郎(北見工業大学)
(敬称略)