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Progress in Earth and Planetary Science

日本語Abstract

Research

Space and planetary sciences

201708201708

火星におけるマグマオーシャンによるダイナモ磁場生成の可能性

Helffrich G

Feasibility of a magma ocean dynamo on Mars

Helffrich G

Mars, Dynamo, InSight, Magma ocean

液体珪酸塩からなる火星マントルにおいてダイナモによる磁場生成が維持される条件(Rm > 40)に必要なマントルの中央部における熱流量 Qm(現在の値との比)。

これまでの火星地殻起源の磁場の観測により、火星には内部の電磁流体の対流によるダイナモによって磁場が生成された時代が存在したことが示されている。筆者は火星生成から4~6億年までにかけて存在したと考えられる火星のマグマオーシャンが固化することをエネルギー源としたマグマオーシャンの対流によるダイナモ磁場の維持の可能性について検討した。

本研究では、ダイナモによる磁場生成が維持される条件を支配する条件として磁気レイノルズ数が Rm = vLμ0σ > 40(L, μ0, σ はそれぞれマントルの厚さ、透磁率、及び電気伝導度)を仮定し、Rm > 40 となる対流速度 v を得るために必要なマントルにおける熱流量を i) 乱流が支配的な場合、ii) magnetostrophic flow(電磁気力、コリオリ力、および浮力が支配的)、および iii) geostrophic flow(コリオリ力および浮力が支配的)な場合の3つのケースについて検討し、その比較を行った。

その結果、マグマオーシャンの対流によるダイナモ磁場の維持に対しては、対流が乱流的な場合と magnetostrophic flow の場合に維持が可能と結論した。一方、geostrophic flow が支配的な対流を仮定した場合、ダイナモ磁場を維持するためには magnetostrophic flow に対して100から1000倍の熱流量が必要であることが明らかとなった。

将来の InSight 探査機に搭載される地震計により固体の内核が発見された場合は、内核-外核境界(ICB)において放出される軽元素による外核の組成対流によってダイナモが維持されたことが予測される。しかし、内核が存在しない場合、InSight 探査機によって期待される観測結果からは火星のどの領域でダイナモ磁場が生成、維持されていたかを明らかに示すのは困難だと考えられる。

日本語原稿執筆者:松井 宏晃(University of California, Davis)
(敬称略)