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Progress in Earth and Planetary Science

日本語Abstract

Research

Solid earth sciences

201707201707

南海トラフ収束域における海底地滑りの気候による発生誘因の可能性

Kremer K,Usman M O,里口保文,長橋良隆,Vadakkepuliyambatta S,Panieri G,Strasser M

Possible climate preconditioning on submarine landslides along a convergent margin, Nankai trough (NE Pacific)

Kremer K, Usman M O, Satoguchi Y, Nagahashi Y, Vadakkepuliyambatta S, Panieri G, Strasser M

Mass transport deposit, Nankai Trough, δ18O isotope stratigraphy, Tephrochronology, Climate preconditioning

IODP Exp.333におけるC0018A(南海トラフ付近)の掘削地点および層相,酸素同位体比層序(白丸),火山灰編年(ピンク色層).酸素同位体比データはLR04のデータセット(青色線;Liesiecki and Raymo, 2005)により対比した.海底地滑りによる堆積物(Mass Transport Deposits;MTD)は,海洋酸素同位体ステージ(MIS;Bassinot et al., 1994)と年代が一致する.

海底地滑りは,浅海から深海へ多量に堆積物を輸送する機構として主要な役割を果たしている.また,海底地滑りは,速な移動機構や津波を起こす潜在能力のために,海岸や沖合における社会的な基盤にとって極めて危険な存在といえる.これまでに,海底地滑りの発生要因と気候変動との関係ついて,多くの議論がなされてきた.しかしながら,両者の関係を総合的に理解するためには,長期にわたって継続的に海底地滑りを記録した堆積物を対象とした研究が必要であるが,そのような研究は不足している.本論では,南海トラフ沈み込み帯における斜面において,火山灰編年を複合させた酸素同位体比層序によって,100万年間に6つの地滑り堆積物を見いだした.それらの堆積年代は,それぞれ,13.0–14.2,323–339,372–384,394–413,508–521,857–867 kaであり,これらは酸素同位体ステージにおける間氷期とおおよそ一致している.その結果から我々は,活発な構造運動をおこす不安定な斜面地帯において,海底地滑りの発生誘因として気候が関係している可能性を指摘した.

日本語原稿執筆者:里口 保文(滋賀県立琵琶湖博物館)
(敬称略)