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Progress in Earth and Planetary Science

日本語Abstract

Research

Atmospheric and hydrospheric sciences

201701201701

福島第一原子力発電所事故により発生した放射性物質に関する大気輸送のモデル描像

中島 映至,三澤 翔大,森野 悠,鶴田 治雄,五藤 大輔,打田 純也,竹村 俊彦,大原 利眞,大浦 泰嗣,海老原 充,佐藤 正樹

Model depiction of the atmospheric flows of radioactive cesium emitted from the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station accident

Nakajima T, Misawa S, Morino Y, Tsuruta H, Goto D, Uchida J, Takemura T, Ohara T, Oura Y, Ebihara M, Satoh M

Fukushima Nuclear Power Station Accident, Aerosols; Radioactive materials, 137Cs, Chemical transport modeling, Ensemble models

3月15日9時から16日9時までの期間におけるセシウム137大気濃度の観測値(色付けられた丸印)とモデルアンサンブルによる分布図. 濃度が10 Bq m-3を超える高濃度汚染気塊の主要部分を赤枠と高濃度汚染気塊の番号(P2, P3, P4)で示した.気象庁MANAL解析による風ベクトル(矢羽)も重ねて示した.パネル(d)では,高濃度汚染気塊P3の経路の動きを太い矢印で示した.

本研究では,福島第一原子力発電所事故によって排出されたセシウム137の大気輸送の描像を得る新しい手法を提案する.この方法では,2つのエアロゾル輸送モデルアンサンブルと,浮遊粒子状物質モニタリングネットワークの90地点から得られた地表付近のセシウム137大気濃度の毎時観測データを組み合わせる.比較期間は2011年3月14〜23日の期間である.本手法によって,これまでに同定された8つのセシウム137高濃度気塊発生イベントの正確な輸送ルートとセシウム137の地表付近の拡散の様子を示すことができた.また,モデルアンサンブルの結果のみでも,観測で得られた地表付近のセシウム137の空間分布の主な特徴が捉えられていた.しかしながら,場合によってはモデル値と観測値には大きな違いがあり,モデルの改良(セシウム137排出シナリオ,高濃度汚染気塊の層高,湿性沈着過程,阿武隈山地における高濃度汚染気塊の輸送)が必要であることも明らかになった.それぞれの誤差の寄与は,高濃度汚染気塊の初期段階と消失段階で異なっており,気象条件に依存していた.

日本語原稿執筆者:中島 映至(宇宙航空研究開発機構 地球観測研究センター)
(敬称略)