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Progress in Earth and Planetary Science

日本語Abstract

Research

Solid earth sciences

Session convener-recommended article JpGU Meeting 2015

201701201701

不可逆反応と変形の連結現象:ロジン岩―蛇紋岩系の水圧破砕の例

西山 忠男,吉田(潮崎)知里,森 康,重野 未来

Interplay of irreversible reactions and deformation: a case of hydrofracturing in the rodingite-serpentinite system

Nishiyama T, Yoshida-Shiosaki C, Mori Y, Shigeno M

rodingite, singular value decomposition method, hydrofracturing, perovskite, reaction zone, serpentinite, irreversible reactions

反応帯を通しての透輝石の組成変化図.

(a) Two-diopside zoneではFeに富む透輝石の組成を示す.反応帯中で鋸歯状変化を示す.

(b) Two-diopside zoneではFeに乏しい透輝石の組成を示す.

本論文では,広域変成作用における不可逆反応と変形の連結現象を,蛇紋岩とロジン岩の間に形成された反応帯を例に解析した.ロジン岩は蛇紋岩中によく産出する優白質岩で,Caに富む流体による交代作用の産物と考えられている.九州西方の野母変成岩(白亜紀の付加体が緑色片岩相から緑レン石角閃岩相の変成作用を受けた地質体)中の蛇紋岩には,ロジン岩が普遍的に産する.この論文では,まずロジン岩とその原岩と推定される単斜輝石ハンレイ岩(現在は変成ハンレイ岩)の鉱物組成に基づき,ロジン岩化反応を特異値分解法によって解析した.導かれた反応関係から,このロジン岩は,SiO2, AF成分(Al2O3 + Fe2O3),そして FM成分(FeO + MgO)が保存され,CaOとH2Oが原岩へ付加されることで形成されたことが分かった.この野母変成岩中のロジン岩は,蛇紋岩との間に反応帯を伴っている.ロジン岩,蛇紋岩,そして反応帯に共通に含まれる透輝石の化学組成の変化は,反応帯においては透輝石が非平衡結晶作用によって形成されたことを示している.透輝石は反応帯を通して鋸歯状の組成変化を示し,また同一粒子内部でも非平衡な組織(Feに富む部分と乏しい部分からなる複合粒子)を示す.これらの組織は,透輝石が変成作用の継続時間に比べてはるかに短い期間に不可逆反応によって急速に結晶化したことを示している.もう一つの顕著な特徴は,ロジン岩にはチタナイトが普通に産するのに対し,反応帯中ではペロブスカイトが産することである.このことは,反応帯の方がよりSiO2に乏しいことを示す.また反応帯から蛇紋岩中に派生するトレモラ閃石脈(図参照)が見られ,これは反応帯形成に伴う水圧破砕の良い例である.特異値分解法によって検討されたすべての反応帯形成反応は,CaOを消費し,H2Oを放出する.このことは反応の進行に伴って流体圧が急速に大きくなり,水圧破砕を引き起こしたことを示唆する.

日本語原稿執筆者:西山 忠男(熊本大学 先端科学研究部 理学系)
(敬称略)