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Progress in Earth and Planetary Science

日本語Abstract

Preface

Interdisciplinary research

201608201608

アジア・モンスーン域での陸と海のリンケージ

多田 隆治,Murray R W

Preface for the article collection “Land–Ocean Linkages under the Influence of the Asian Monsoon”

Tada R, Murray R W

Land–ocean linkage, Asian monsoon, East Asian marginal seas, Kuroshio, Tsushima Warm Current, Yangtze River, Volcanic ash, IODP

図1: 2013年~2016年にかけて、国際深海科学掘削計画/統合国際深海掘削計画(IODP)により企画された、アジア・モンスーンに焦点を当てた掘削航海の調査・掘削海域。地形図の出典は2016 TerraMetrics。

図2: SPEPSの「アジア・モンスーン域での陸と海のリンケージ」特集のポスター。上から、ヒマラヤ山脈、揚子江、IODP第436次航海で掘削された第四紀日本海堆積物。

アジア・モンスーンは地域的な現象だが、グローバルな気候にも影響を及ぼしている。その影響は、地域的水循環とその時代変動を通じて、アジアに居住する世界の人口の半数を超える人々の生活に及んでいる。また、アジア・モンスーンは河川からの淡水の流出や栄養塩の供給、その強い風を通じて、アジアを取り巻く海洋の環境にも大きな影響を与えており、その影響は、特に環境変動に対する感度の高い縁海において大きいと考えられる。

ユーラシア大陸東縁では、約4500万年前のインド亜大陸のユーラシア大陸への衝突に伴って、多数の縁海が形成された。この大陸衝突はヒマラヤ、チベットの隆起も引き起こし、それは新生代におけるアジア・モンスーンの成立やその後のアジア・モンスーンの強度や様式の時代変化にも、大きな役割を果たしたと考えられている。したがって、東アジアにおける縁海の形成とアジア・モンスーンの成立は相互に関係している可能性が高いと言える。

国際深海科学掘削計画/統合国際深海掘削計画(IODP)では、アジアの縁海および縁辺海域の掘削航海を複数企画・実行し、今後、その成果が多数発表されることが期待されている。また、近年のアジア・モンスーンの進化・変動やヒマラヤ、チベットの隆起・侵食に関する研究の進展は著しく、そうした新しい知見の整理・総括が必要である。

本SPEPS特集号に掲載された論文は、特にアジア・モンスーンの進化と変動に注目して、アジア陸域の気候とその縁海域の海洋環境の間の陸―海リンケージに関する科学的発見をまとめたものである。

日本語原稿執筆者:多田 隆治(東京大学 理学部 地球惑星科学専攻)
(敬称略)