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Progress in Earth and Planetary Science

日本語Abstract

Research

Solid earth sciences

201606201606

200GPaまでの超高圧下におけるSiO2-Al2O3ガラスの音速測定

大平 格,村上 元彦,小原 真司,尾原 幸治,大谷 栄治

Ultrahigh-pressure acoustic wave velocities of SiO2-Al2O3 glasses up to 200 GPa

Ohira I, Murakami M, Kohara S, Ohara K, Ohtani E

Glass structure, Brillouin scattering, high pressure, Acoustic wave velocity, Heterogeneity of Earth’s core-mantle boundary

SiO2-Al2O3系ガラスのP-VSプロファイル

マントル最深部における高密度ケイ酸塩メルトのふるまいを明らかにするために,多くの研究でそのアナログ物質であるケイ酸塩ガラスの構造や密度が測定されてきた.しかし,天然のメルト(マグマ)中に主要に存在する様々な金属カチオン(例えばアルミニウム(Al)など)が,マントル最深部に相当する圧力下でメルトやガラスの構造・高密度化に与える影響に関しては,いまだ不明な点が多い.

本研究では,天然のメルトのアナログ物質であるアルミノケイ酸塩ガラスについて,圧力の上昇に伴う構造変化に対するアルミニウムの影響を理解するために,ブリルアン散乱分光法により約200 GPaまでの圧力下でSiO2-Al2O3系ガラスの音速を測定した.

本研究の出発物質として,二つのガラス(SA1, SiO2 + 3.9 mol% Al2O3; SA + 20.5 mol% Al2O3)を浮遊加熱法により合成した.常圧での放射光X線回折法により測定した二つのガラスのT-O(T=Si, Al)結合距離は,先行研究の値と整合的であった.

10~40 GPaの条件では,圧力増加に伴い横波速度(VS)が急増した.またAl2O3量の多いSA2の方が,Al2O3量の少ないSA1よりもVSが大きいことが分かった.これは、高配位Alイオンの出現に伴う弾性的な硬化が,Alに富むSA2でより低圧から生じたためであると考えられる.圧力に対する音速の増加率(dVS/dP)は,40~100 GPaで低下するが,100 GPaを超える条件では再度増加する様子が観察された.dVS/dPが再度増加する圧力条件は,SA1では130 GPa,SA2では116 GPaであり,ガラス中のAl2O3量の増加に伴い低下した.SiO2ガラスおよびMgSiO3ガラスにおいても同様の現象が見られることが報告されているが,SiO2-Al2O3系ガラスの方がより低圧でdVS/dPの増加が開始する.このdVS/dPの増加は,ガラスの平均配位数が6を超えた高密度構造を持つことに起因すると先行研究で報告されていることから,Alを含むガラスはAlを含まないガラスよりも低圧から高密度構造を持ち始めると考えられる.したがって,マントル最下部で発生したアルミノケイ酸塩メルトは,Al2O3の影響により核マントル境界(CMB)よりも十分に浅い領域でSi-O平均配位数が6を超える高密度構造を持つようになり,重力的安定性を持ってCMB上に沈積する可能性がある.

日本語原稿執筆者:大平 格(東北大学 理学研究科 地学専攻)
(敬称略)