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Progress in Earth and Planetary Science

日本語Abstract

Research

Solid earth sciences

Session convener-recommended article JpGU Meeting 2015

201607201607

米国西部ガーネットリッヂ産含水Na-ザクロ石;コロラド高原下部におけるマントル交代変成作用の産物

坂巻 邦彦, 佐藤侑人, 小笠原義秀

Hydrous Na-garnet from Garnet Ridge; products of mantle metasomatism underneath the Colorado Plateau

Sakamaki K, Sato Y, Ogasawara Y

hydrous Na-garnet, the Colorado Plateau, amphibole exsolution, pyrope, mantle metasomatism

Cr-rich pyropeとCr-poor pyrope の結晶と離溶組織の顕微鏡写真

本論文ではパイロープからの角閃石の離溶をアメリカ合衆国西部コロラド高原で初めて報告する。試料は、アリゾナ州北部ガーネットリッヂから採取した、基質を持たない分離単結晶として産するパイロープである。このパイロープは約三千万年前の爆発的な火山活動によりコロラド高原下部のマントルから地表へ運ばれた。本研究では、Crの含有量に基づいて試料を2グループ(Cr-rich pyrope, Cr-poor pyrope)に分け、さらに離溶相に基づいてCr-poor pyropeを4サブグループ(amphibole lamella type, ilmenite lamella type, dense lamellae type, and clinopyroxene/amphibole lamellae type)に細分化した。角閃石の離溶はamphibole lamella type, dense lamellae type, clinopyroxene/amphibole lamellae typeに認められる。離溶した角閃石は六角形または菱形の平板状結晶、他の離溶相を伴った針状または薄板状結晶として産し、母晶のパイロープの結晶方位に沿って定向配列する。離溶した角閃石は(23 oxygenに対し)最大で1.6 apfuのNa2Oを含むパーガス閃石である。角閃石の離溶を含むパイロープの母晶は、角閃石の離溶を含まないパイロープと比較して、構造中のOH基が少ないことが認められた。これは、角閃石の離溶が生じる過程で、母晶のパイロープに含まれていたOH基が消費されたことを示唆している。角閃石の離溶は、減圧過程におけるパイロープ中の含水Na-ザクロ石成分(Mg,Na+x)3(Al2-x, Mgx)2Si3O12-2x(OH)2x の分解によるものであると考えられる。

単斜輝石と角閃石の離溶の化学組成と離溶量から、離溶以前のパイロープはSiに過剰(Si3.017 apfu, 12 oxygen)と見積もられる。過剰のSiの量は、含水Na-ザクロ石を含むパイロープが6 - 8 GPa圧力条件で成長したことを示唆している。角閃石の離溶を含むパイロープの化学組成(Pyp49-76, 3 - 10 wt% CaO)は、典型的なレルゾライト中のザクロ石(Cr-rich pyrope)の化学組成と部分的に重なる。このことから、含水Na-ザクロ石は上部マントル深部で、レルゾライトとNaに富むH2O流体間の交代変成作用によって生じた可能性が高い。Naに富むH2O流体の起源はコロラド高原下部の沈み込んだファラロンプレート以前の海洋地殻であろう。

日本語原稿執筆者:坂巻 邦彦(早稲田大学 創造理工学研究科 地球・環境資源理工学専攻)
(敬称略)