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Progress in Earth and Planetary Science

日本語Abstract

Review

Space and planetary sciences

201607201607

光球面磁場に基づいた太陽コロナ磁場と太陽プラズマ噴出現象の電磁流体モデリング

井上 諭

Magnetohydrodynamics Modeling of Coronal Magnetic Field and Solar Eruptions Based on the Photospheric Magnetic Field

Inoue S

Sun; Magnetic Field, Photosphere, Corona, Magnetohydrodynamics (MHD), Solar Active Region, Solar Flare, Coronal Mass Ejection (CME)

2011年2月15日に活動領域11158において、X2.2クラス太陽フレアが起きた際の磁場のダイナミクス。橙色の磁力線は初期(t=0)に強くねじれていた磁力線を表しており、水色の磁力線は強くねじれた磁力線を囲んでいる磁力線である。最終的に、これらの磁力線が磁気リコネクションを介すことで、巨大な磁束菅構造を形成する。

近年の太陽観測衛星による高精度な太陽観測により、太陽大気「コロナ」で生じている活動現象が鮮明に映し出されるようになった。太陽は「磁化した」星であり、コロナ中での活動現象は磁場に担われていると考えられている。中でも、太陽表面の爆発現象である「太陽フレア」を伴う太陽プラズマの噴出現象(solar eruption)は、それらを代表する激しい活動現象の一つである。Solar eruptionの中には、コロナ質量放出(CME)として惑星間空間にまで放出され、地球にまで到達する。CMEが地球に到達すると、地球周辺の宇宙空間「ジオスペース」の電磁環境が荒らされる「宇宙嵐」が発生するので、solar eruptionの発生機構やそのダイナミクスを理解することは、太陽と地球の関係を理解する上でも極めて重要となる。本論文は、過去2~3年の間に実施されてきたsolar eruptionの数値もモデリング、特に観測磁場データを取り込んだ電磁流体力学(MHD)モデリングについてレビューする。近年の太陽観測衛星、地上望遠鏡の高精度観測により、精度の良い磁場が観測されているが、最新の技術を用いても観測上の問題から、太陽の表面である光球面上でしか磁場を測定できない。そこでまず、太陽コロナ中での3次元の磁場構造を見出すために、光球面の磁場を境界条件として、上空の磁場を数値的に外挿しなければならない。外挿方法は多く提案されており、本論文ではエネルギーを解放するための自由エネルギーを持ち合わせていないが、容易に外挿できるポテンシャル磁場から、solar eruptionを引き起こすようなエネルギーが蓄積された磁場構造「force-free磁場」を外挿する方法まで解説する。さらに、ここ数年の間に盛んに実施されるようになった、フレア発生前に外挿された3次元磁場を用いた安定性解析の結果についてもレビューする。最後に、外挿された磁場、特にフォースフリー磁場を初期条件とした電磁流体シミュレーションも実施され始めているので、それらの最新の結果もレビューする。

日本語原稿執筆者:井上 諭(マックスプランク太陽系研究所)
(敬称略)