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Progress in Earth and Planetary Science

日本語Abstract

Research

Atmospheric and hydrospheric sciences

201604201604

砂岩中の毛管上昇の速度とメカニズムに関する実験的研究

綱澤 有哉,横山 正,西山 直毅

An experimental study on the rate and mechanism of capillary rise in sandstone

Tsunazawa Y, Yokoyama T, Nishiyama N

Capillary rise, Capillary pressure, Lucas–Washburn equation, Water expulsion method, Sandstone

(a)毛管上昇実験の様子.(b)水押し出し処理の概要.(c)水押し出し処理後の毛管上昇実験結果

地質媒体中の毛管上昇の速度やメカニズムの理解は、表層環境における水移動(浸潤/乾燥過程)や、岩石風化、土壌生成、植物の水利用、汚染物質移行等を考える上で重要である。媒体中の毛管上昇の距離、時間、間隙径を関連づける理論式として、Lucas-Washburn式(L-W式)がよく用いられる。しかし、この式で毛管上昇の実験結果を再現するためには、媒体中の主な間隙径よりも大幅に小さい値を用いる必要があることが知られている。その原因を、Berea砂岩(76%の間隙が半径≥ 10 µm)を用いて調べた。

まず、全てのサイズの間隙に水が進入できる状態として、乾燥コア試料を用いて毛管上昇速度を測定した。次に、水が浸入できる間隙サイズを調節するために、間隙を水で満たした試料にガス圧をかけて一部の水を試料外に押し出し、その後、毛管上昇速度を測定した。その際、ガス圧が大きいほどより細い間隙から水が押し出されることを利用して、ガス圧を変えた場合に速度がどう変化するかを調べた。得られた結果は以下の通りである。(1)乾燥時の速度を再現するにはL-W式で用いる間隙半径を0.35〜0.60 µmとする必要がある。(2)より細い間隙に水が進入できるほど、毛管上昇速度は低下し、乾燥時の速度に近づく。

従来、L-W式で小さな間隙径を用いる必要がある主な原因の一つとして、管状の間隙を考えてその径に太い部分と細い部分がある場合に、みかけ上の径が細い部分より小さな値になることが理論から示されている。この効果は、上述の結果(1)を説明できるが、(2)を説明することが難しい。近年、異径のY字管中の毛管上昇の研究から、管の分岐点ではより細い間隙に先に水が浸入する場合があることが明らかにされてきている。本研究ではこの概念を岩石間隙中の毛管上昇に拡張し、異径の分岐管を組み合わせた新しいモデルを作成し、実験結果の定量的解釈を試みた。

日本語原稿執筆者:綱澤 有哉(東京大学大学院 理学系研究科 地球惑星科専攻)
(敬称略)