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Progress in Earth and Planetary Science

日本語Abstract

Research

Solid earth sciences

201511201511

地球磁場永年変化のデータ同化に対する地球外核の動的応答

Kuang W, Tangborn A

Dynamic responses of the Earth's outer core to assimilation of observed geomagnetic secular variation

Kuang W, Tangborn A

Geodynamo, Geomagnetic field, Secular variation, Core flow, Data assimilation

ケースII(破線)およびケースIII(実線)における磁場の (OƑ)B(観測された地球磁場と予測された地球磁場との差)の二乗平均平方根。どちらの場合でも (OƑ)B≪1 であり、最初の3サイクルの解析の後は (OƑ)B が単調に減少し、そして最後の20年ではあまり変化しなくなっている。この結果は予測精度が継続的に改善していることを示す。さらに、地球磁場とその永年変化の両方を用いたデータ同化を行ったケースIIIにおける (OƑ) の結果は、地球磁場だけを用いたデータ同化を行ったケースII における (OƑ) の結果よりも 20 % 以上小さい。この結果はデータ同化に永年変化を取り入れることにより、予測精度が明らかに改善されたことを示す。

地球磁場観測と地球ダイナモモデルのデータ同化(地球磁場データ同化;GDAS)は、近年、急速に進歩してきた。しかしながら、気象学において進展したデータ同化と比べると、地球磁場データ同化はまだ初期段階にある。データからモデルに渡って数多くの挑戦がなされてきたが、短い時間スケールの観測記録と長い時間スケールのコアダイナミクスとの間には隔たりがある。観測データを追加するとコアダイナミクスがどのように応答するかを理解することを目的として、われわれは、観測による情報をできる限り利用するために、地球磁場モデルを通して得られるコアの磁場と永年変化 (SV) 両方のガウス係数を、直接データ同化するための努力をしてきた。われわれの研究によれば、SVを取り入れたデータ同化によってダイナモモデルの立ち上がり過程は短くなる。観測された磁場および永年変化に対してコア-マントル境界 (CMB) の下の流れがどのように応答するかが重要になる。最も強い応答は比較的短いスケールの流れ(球面調和関数展開の位数 L≈30 で生じる。この流れは軸対称トロイダル流(次数 m=0)および m≥5 という非軸対称ポロイダル流を含む。コアの流れを理解するために、そして、特に将来の地球磁場変動の予測精度を改善するために、これらの応答を使うことができる。

日本語原稿執筆者:松島 政貴(東京工業大学
大学院理工学研究科 地球惑星科学専攻)
(敬称略)