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Progress in Earth and Planetary Science

日本語Abstract

Research

Atmospheric and hydrospheric sciences

Session convener-recommended article JpGU Meeting 2013

201511201511

局所アンサンブル変換カルマンフィルターのネストシステムを用いた2012年5月6日に日本で観測された竜巻に伴う強い渦のアンサンブル実験

瀬古 弘,國井 勝,横田 祥、露木 義、三好 建正

Ensemble Experiments Using a Nested LETKF System to Reproduce Intense Vortices Associated with Tornadoes of 6 May 2012 in Japan

Seko H, Kunii M, Yokota S, Tsuyuki T, Miyoshi T

Ensemble forecast, Tornadoes, LETKF

(a)350m格子のダウンスケール実験で再現した2012年5月6日12時における高度20mの各メンバーの降水域。(b)と(c)アンサンブルメンバー004と007を拡大した図。図中の赤い点は渦度が0.1 s–1を超えている位置を、(b)と(c)の細い実線は流線を示す。(a)と(b)の赤い枠は、(b)の表示範囲とアンサンブルメンバー004に再現された北側の降水域付近の収束域を示す。

2012年5月6日に関東平野で発生した竜巻に伴う強い渦の再現実験を、局所アンサンブル変換カルマンフィルタ(LETKF)をネストさせたシステムを用いて行った。12メンバーのLETKFネストシステムを用いて初期値を作成し、得られた初期値からダウンスケール実験を行って強い渦を再現した。決定論的予報では強い渦が1か所でしか再現されなかったが、上記の12メンバーのダウンスケール実験では、実況と同じように3か所で再現された。最も南側で再現された一番強い竜巻に伴う強い渦は、12メンバーのうち、10メンバーで再現された。また、ダウンスケール実験で再現した強い渦は、水平風の鉛直シアが強いほど、あるいは下層の気流が湿っているほど寿命が長くなる傾向があることが分かった。その他に本論文では、アンサンブル予報が以下の利点を持つことを示した。(1)竜巻に伴う強い渦の発生確率を得ることができる。(2)竜巻に伴う強い渦の発生の見逃しを少なくすることが期待できる。(3)竜巻に伴う強い渦の発生に都合が良い環境要因をアンサンブル予報で得られた複数の予報結果の比較から得ることができる。

日本語原稿執筆者:瀬古 弘(気象研究所 予報研究部 /
海洋研究開発機構 シームレス環境予測研究分野)
(敬称略)