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Progress in Earth and Planetary Science

日本語Abstract

Research

Interdisciplinary research

201510201510

揚子江細粒堆積物の地球化学とその東アジアにおける砕屑物供給源推定および化学風化への示唆

He M, Zheng H, Clift P D, 多田 隆治, Wu W, Luo C

Geochemistry of fine-grained sediments in the Yangtze River and the implications for provenance and chemical weathering in East Asia

He M, Zheng H, Clift P D, Tada R, Wu W, Luo C

The Yangtze River, Fine-grained sediments, Geochemistry, Provenance, Chemical weathering

揚子江集水域の各地質体における87Sr/86Sr 対 εNd(t)のプロット。東部揚子江卓状地、中部揚子江卓状地、峨眉山および華夏に関するデータは、GEOROC (http://georoc.mpch-mainz.gwdg.de/georoc/Start.asp)より引用。松潘―甘孜に関するデータは、Cai et al. (2009)による。揚子江本流の堆積物のSr-Nd同位体比は、下流に向けての明確な変化傾向は示さない。

東アジアの縁海の堆積盆中の砕屑性堆積物の記録を解釈する上で、堆積物の運搬、化学風化過程が、同堆積物の組成に、どのような影響を与えるかを理解することは重要である。そこで、本研究では、揚子江およびその主な支流から得られた細粒(<63µm)堆積物に関する新しいデータセットを提供する。このデータセットは東シナ海堆積物を解釈するための基礎的情報を与えると期待される。主要元素組成は、揚子江の上流から下流に向かって特に組成変化は示さず、Sr, Rb, Na, Kなどの水溶性元素を除き、平均大陸地殻より富んでいる。Nd同位体比は、揚子江から排出される堆積物の大部分が揚子江卓状地の東部と中部および松潘―甘孜テレーンに由来することを示す。一方、集水域内において化学風化の程度は大きく変化し、上流域支流起源の堆積物は下流域支流起源の堆積物に比べて風化度が低い。しかしながら、本流の細粒堆積物においては、上流から下流に向けての化学風化度の系統的変化は認められず、最も風化度の低い堆積物の一部は、河口の三角州近くから見出だされている。また、粒度や流体力学的淘汰を受けた重鉱物の含有量は、堆積物の化学組成、特に希土類組成に影響している。

日本語原稿執筆者:多田 隆治(東京大学大学院 理学系研究科
地球惑星科学専攻)
(敬称略)