※Progress in Earth and Planetary Science は,公益社団法人日本地球惑星科学連合(JpGU)が運営する英文電子ジャーナルで,JpGUに参加する51学協会と協力して出版しています.

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Progress in Earth and Planetary Science

日本語Abstract

Review

Solid earth sciences

201509201509

液体ナトリウムによる地球の外核のモデル

Adams M M, Stone D R, Zimmerman D S, Lathrop D P

Liquid Sodium Models of the Earth’s Core

Adams M M, Stone D R, Zimmerman D S, Lathrop D P

Magnetic dynamos, Fluid experiments, Geodynamo, Magnetic induction, Zonal flows, Turbulence, Experimental fluid dynamos, Spherical Couette flow

3 mのサイズを持つ球殻での実験装置の概要。上部にある2つのモーターによって内側の球と外側の球殻をそれぞれ駆動する。作業流体としては水もしくは液体ナトリウムを用いる。

地球の外核で生じる流れに関する理解は、観測・実験・シミュレーションの連携から進められている。外殻では鉄が溶融状態にあると考えられている。外核のダイナミクスで重要な点は、導電性のある液体の流れとダイナモ作用によって生み出される磁場が相互に影響していることである。この非線形相互作用と大きなレイノルズ数を持つことによる乱流状態のために、数値シミュレーションで直接的に外核の流れを再現することは不可能である。そのため、外核のダイナミクスの理解には、シミュレーションと地震・電磁気の観測に加えて、モデル実験が重要な貢献をしている。中でも液体ナトリウムによる室内実験は、導電性、乱流、系の回転、という要素によって外核のモデルとして有用であり、さらにその球殻という形状を模擬できている。このような実験によって、数値シミュレーションの結果を評価するとともに、シミュレーションでは到達できないパラメータ領域にまで進んで、地球やその他の惑星の核に関連した現象に対する理解を深めることができる。本レビユーでは特に、球殻クエット流(外殻と内殻とで異なる回転速度を与えることによって駆動される流れ)に焦点を当てて述べる。

日本語原稿執筆者:柳澤 孝寿(海洋研究開発機構 地球深部ダイナミクス研究分野)
(敬称略)