※Progress in Earth and Planetary Science は,公益社団法人日本地球惑星科学連合(JpGU)が運営する英文電子ジャーナルで,JpGUに参加する50学協会と協力して出版しています.

※Progress in Earth and Planetary Science は,独立行政法人日本学術振興会(JSPS)より科学研究費助成事業(科学研究費補助金)のサポートを受けています.

>>日本地球惑星科学連合

>>参加50学協会へのリンク

  • Progress in Earth and Planetary Science
  • Progress in Earth and Planetary Science
  • Progress in Earth and Planetary Science
  • Progress in Earth and Planetary Science
  • Progress in Earth and Planetary Science
Progress in Earth and Planetary Science

日本語Abstract

Review

Solid earth sciences

201509201509

より現実的なコア-マントル境界の熱流束パターンへ向けて:惑星ダイナモの多様性の原因

Amit H, Choblet G, Olson P, Monteux J, Deschamps F, Langlais B, Tobie G

Towards more realistic core-mantle boundary heat flux patterns: a source of diversity in planetary dynamos

Amit H, Choblet G, Olson P, Monteux J, Deschamps F, Langlais B, Tobie G

Magnetic field, Dynamo, Core-mantle boundary, Heat flux

上:地磁気極性時間スケール(GPTS)データベース(下部バーコード)に基づく地磁気逆転頻度(黄色)とダイナモモデルの逆転頻度との比較。時間変化するCMB熱流束パターンのモデルは黒プラス記号で、現在に固定されたトモグラフィパターンのモデルは赤十字で示す。白亜紀超正磁極期、キアマン超逆磁極期、モイロ超逆磁極期は灰色の陰影で示す。

下:規格化された正・逆磁極期の時間差で定義された極性の偏り。

惑星のダイナモに対するマントルによる影響は、数値ダイナモシミュレーションのコア-マントル境界(CMB)に不均質な熱流束パターンを与えることによって調べられてきた。そうしたパターンは二つのカテゴリーに分類される。一つは現実的な条件下でのシミュレーションのために、 地球のマントル最下部の地震波トモグラフィーモデルのパターンに比例するものを与える場合、もう一つは基本的な物理を理解するために単一の球面調和関数のパターンを与える場合である。しかしながら、現実の下部マントルダイナミクスは非常に複雑であり、これらのCMB熱流束モデルは非常に簡略化されたものである。そこで、われわれはこれら二つのカテゴリーに当てはまらない新たなCMB熱流束パターンを数値ダイナモに与え、それにより新たに生じる下部マントルの複雑性の説明を試みる。現在の地球では、その新たなパターンは、温度変化では説明できない地震波速度異常、すなわちグローバルなトモグラフィーモデルでは表現できない急峻な変化を反映している。過去の地球のCMBの条件をとらえるためには、時間とともにパターンが変わるマントル対流モデルが用いられる。火星の場合、新たなパターンは巨大衝突やマントルプルームによる局所的な加熱を考慮したものである。再現に成功した地球ダイナモに関連する観測事実としては、過去数億年間の地磁気の逆転頻度に加えて、現在のコア対流と地球磁場で持続的に見られる形態上の特徴があげられる。火星に対するモデルは太古のダイナモの終焉や、地殻磁場の半球的二分生の説明を目指している。われわれは、以上の成果を報告し、それらの地球物理学的意義を議論し、将来の展望について考える。

日本語原稿執筆者:高橋 太(九州大学 大学院理学研究院 地球惑星科学部門)
(敬称略)