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Progress in Earth and Planetary Science

日本語Abstract

Research

Solid earth sciences

201503201503

JUNOで期待される地球ニュートリノ信号

Strati V, Baldoncini M, Callegari I, Mantovani F, McDonough W F, Ricci B, Xhixha G

Expected geoneutrino signal at JUNO

Strati V, Baldoncini M, Callegari I, Mantovani F, McDonough W F, Ricci B, Xhixha G

Geoneutrino flux, JUNO experiment, Earth reference model, Earth composition, Heat-producing elements, Reactor antineutrinos

図4.JUNOで予想される反ニュートリノエネルギースペクトル。地球ニュートリノのエネルギースペクトル(緑)と、原子炉からの反ニュートリノエネルギースペクトルを2013年に全世界で稼働していた商用原子炉を考慮して計算したもの(青緑色)ならびに陽江および台山原子力発電所の寄与を加えて計算したもの(赤)を併せて報告する。原子炉反ニュートリノスペクトルは、順ヒエラルキーおよびニュートリノ振動を仮定して計算されている。合計したスペクトル(黒の破線)は、RONシナリオを仮定して得られたものである。

地球ニュートリノを検出することで、地球の組成および地球の放射性起源のエネルギー収支に関する拘束条件が得られる。最近、我が国のKamLANDおよびイタリアのBorexinoを用いた反電子ニュートリノの測定実験から、地球内部のウラン(U)およびトリウム(Th)の量と分布を反映する地球ニュートリノフラックスが報告された。JUNOニュートリノ検出器は、20 ktonの液体シンチレータ検出器として設計され、各々の熱出力が約18 GWで計画されている陽江および台山原子力発電所から約53 kmの場所にある中国南部の地下実験施設に建設される予定である。JUNOの目標は、大型検出器を使って、原子炉からの反ニュートリノ信号を高い統計精度で収集することだけでなく、原子炉からの高い強度の反ニュートリノから非常に弱い地球ニュートリノ信号を識別するという問題に取り組むことである。JUNOにおいて予測される地球ニュートリノの信号強度は、モデリングから、 TNUと計算される。検出器の周囲(半径約500 km以内)の上部地殻の組成モデルの不確定性から見積もりに幅が出ている。本論文では信号の44%に寄与すると推定される検出器周囲の6° × 4° の狭い範囲の地殻に特に着目する。原子炉反ニュートリノの世界標準モデルに基づいて、地球ニュートリノのエネルギーウィンドウにおける原子炉反ニュートリノ信号強度と地球ニュートリノ信号強度の比は、2013年に稼働していた原子炉を考慮すると0.7と推定されるが、将来の原子力発電所の寄与を加えると8.9に達する。マントルの組成について有益な情報を得るためには、上部地殻の地球化学的特性に注目しつつ、予想される地球ニュートリノ信号全体の47%を作り出し、不確定性の主要因となる検出器近傍の地殻内部のUおよびThの存在量および分布のモデリングの改良が必要である。

日本語原稿執筆者:田中 宏幸(東京大学 地震研究所)
(敬称略)